映画『Wildlife』鑑賞。

 キャリー・マリガンが好きなため映画館へ。しかし、上映館は恵比寿のみでした。共演するのは、『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』のジェイク・ギレンホール。そして、ビーチ・ボーイズの映画の『 ラブ&マーシー 終わらないメロディー』のブライアンを演じていたのポール・ダノが、初監督の作品です。

 キャリーマリガンとポール・ダノは友人関係のようで、すごく楽しい現場だったとキャリー・マリガンがインタビューで答えていました。それでこれは見ないと、と思いました。

 キャリー・マリガン、いろいろな役を演じますね。私が一番好きなのは、『シェイム』で、マイケル・ファスベンダーの病的な妹役をやっていたときの、こちらの歌です! このときは、役作りで少し太ってもいました。カワイイ! 声も好きなんですよね。

 この後、『グレイト・ギャツビー』でデカプリオと共演! デカプリオが相手ということで、キャリー・マリガン、相当の緊張をされていたそうです。そもそも、『わたしを離さないで』で、キラー・ナイトレーと一緒にも出てましたし、ライアン・ゴズリングと共演の『ドライブ』もありますし、いつも共演者がすごい人だらけです! 2012年には幼馴染と結婚して、今は4歳のママでもあります。そんな数々の経験をしてきて、今回の映画は壊れていく家族を描いた物語。今の自分と正反対の役を演じたとか。

 『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』のジェイク・ギレンホール。私はこの映画を知らなかったのですが、英会話の先生が、超オススメをされていたので観てみたところ、無感情の役がはまりすぎていて、すごい俳優さんだなと思いました。その後、この映画を何人にも紹介しているのですが、特に男性にグッとくる映画のようです。感情を無意識で抑え気味になっている方にとてもオススメです。感情を回復するために、あらゆるものを壊していくのです。だから英語のタイトルは、「デモルション」になっています。

 さて、そんな演技派が出演する映画、どうだったのか? ところが、二人以上に主役ではないか?というのが、14歳の子供です。エド・オクセンボールドという18歳の青年が演じていました。

 1960年代のモンタナが舞台です。モンタナの穏やかな風景とは対照的に、父が失業したあたりから、夫婦の雲行きが怪しくなり、14歳の息子ジョーも学校以外に仕事を見つけて、写真館でバイトするようにもなりました。ある日父が、「山火事を消化する仕事をどうしてもしたい」と言い、どうみても男のプライドだけで決めたようにしか思えない、お金にもならない仕事に、穏やかだった母もついにブチギレて、仕事先で出逢った富豪の愛人になっていきます。そんな大人たちの間で、ただ、見ていることしかできない、葛藤した子供目線からのカメラワークで、なんか、どの人にも感情移入してしまって、全部が痛々しというか、どこも報われないまま映画は進んでいきました。だめだよ、こんなところを子供に見せてしまっては…。

 モンタナの田舎の穏やかな風景と山火事のワイルドな燃えっぷりと、もう、どうしていいかわからない、父と母の間で、双方の話を傾聴してるだけの少年のブルーの瞳。

 とても美しい色の映画でした。あとからいろいろと調べてみると、夫婦が仲が良かったときは、同じ画面に映っていたけれど、ばらばらになったときは、別々に映していたと解説が書いてありました。無意識の中で、見ているほうも実は感じていたに違いありません。ラストシーンでは、そんな3人が一緒に映りました。そして、自然と左目から涙が流れました。感動したり、悲しいときに流す涙は左目からだそうです。

 ポール・ダノ初監督作品ということでしたが、とてもアートな作品で、次回作も楽しみです。