京セラ美術館を後にして、以前訪れた、あのスコッチエッグが自慢のカフェへ向かった。植物と天井の高い開放的な場所。やはり「9組待ち」。しかし1度は入ったこともあるし、あっさりと次を探すことにした。
駅へ向かう道すがら、小さな店が点在している。けれど、どこも満席。ガラス越しに覗いては諦め、また次へ。3.4軒過ぎた頃には、別の駅へ行ったほうがいいのではないかと、思ったりもした。
そんな時だった。ふと目に入ったレストランの窓から、空席が見えたのだ。
腸活ランチ
扉を開けると、予想外の空間が広がっていた。壁をうすピンクに染めた店内には、時を経たアンティーク家具が配されている。奥に鎮座する大テーブルは、一枚板の重厚な佇まい。そのテーブルに対抗する椅子もゆったりとした座面を持つ。そして大テーブルには、小瓶にスターチスのドライフラワーがさりげなく活けられていた。たったそれだけの演出が、空間全体に洗練された余白を生んでいる。
入口で目にしたメニューには「腸活ランチ」の文字。メイン料理と副菜を選ぶスタイルだという。四人だった私たちは、運良くあの大テーブルに案内され、L字型に腰を下ろした。ランチ難民になりかけていたのが嘘のような、絶妙なタイミングだった。
私が選んだのは、肉団子の腸活ランチ。運ばれてきた料理を見て、まず目を奪われた。副菜は一皿ずつ異なる器に盛られ、食材の色彩が互いを引き立て合っている。——家での食事も1つ1つ美しく盛り付けたいよねと、皆で自然に会話が弾んだ。
そして、肉団子をひと口。
不思議な感覚だった。味が口の中で広がるというより、じんわりと、まるで頭頂部へ向かって温かさが伝わっていくような感じ。身体の芯に染み入るような、優しく深い味わい。これが「腸活」なのだと、妙に納得した。
ひと皿ひと皿、食材の個性を味わいながら、ゆっくりと箸を進める。彷徨ったランチが、思いがけず贅沢な時間へと変わっていく。
さて、ランチの後はどこへ行こう。秋の連休の混雑をなるべく避けたいところ。ChatGPTにこの東山あたりのプランと、京都駅周辺でのプランと聞いてみる。少し早めに帰る方もいらしたので、京都駅周辺のプランを採用することになった。
🚶♀️ 京都駅周辺さんぽ:
テーマ「過去と未来のあわいを歩く」
① 【スタート】京都駅ビル屋上「大空広場」
エスカレーターをずっと上がっていくと、まるで空港のような開放空間に出ます。
京都タワーを正面に見ながら、風と夕光が抜ける場所。観光客が少なく、地元民でも知らない人が多い。
→ ここで10分ほど呼吸を整える。旅の“リセット点”。
② 【次に】「東本願寺」〜「渉成園(しょうせいえん)」
駅から徒歩7分。東本願寺の荘厳さを横目に見つつ、
裏手の「渉成園」はまさに“隠れ庭園”。
池と回廊、松の影が美しく、都会の真ん中とは思えない静けさです。
→ 滞在30〜40分。
晴れならベンチで読書、曇りなら池に映る雲を眺める時間を。
などなど、まだ提案が続く…
大空広場という名の"リセット点"
京都駅に到着すると、ChatGPTが提案してくれた「大空広場」を目指した。171段、高低差35メートル。伊勢丹の1階から10階まで、中央から西へ一気に駆け上がる階段(エスカレーター)は、まさにダイナミックという言葉がふさわしい。
何度もこの駅を利用していたのに、大空広場へ続く階段の存在すら知らなかった。そして何より秀逸だったのは、AIが添えた一言。「ここで10分ほど呼吸を整える。旅の"リセット点"」——まさに、私仕様のGPTである。
休日にもかかわらず、大空広場は静かだった。開けた青空。遠くまで見渡せる山並み。視線の先に見えるのは、GPTの言う東本願寺だろうか。後で訪れてみよう。
風が少し冷たくなってきたので、伊勢丹の中へ。歩いていると、奥のほうに人だかりが見えた。
近づいてみると、「英国展」最終日の文字。アンティークのアクセサリー、雑貨、パディントン、スコーン、紅茶——イギリスの薫りが漂っている。当然、潜入する。いくつかあるスコーン店の中でも、特設厨房のある店の列にみんなで並んだ。
袋を通して伝わる、ほんのりとした温かさ。出来立てだ。「大空広場で食べましょう」と意見が一致し、私たちは再び階段を上った。
イチゴのスコーンは、外がカリッと、中はふっくら。焼きたてならではの幸福な食感だった。すると通りがかりの関西のおばちゃんが、「美味しそうやね!」と声をかけてくれる。「美味しいですよ!」と返すと、なぜかスコーンがもっと美味しくなった気がした。なぜかここで、イギリスのカルチャーに触れるとは!「もう、イギリスに行った気分になりました!」と、思わず4種類すべてのスコーンを買ったMさんがおっしゃった。(笑)
黄金の鯉が泳ぐ寺
東本願寺へ向かう。境内の堀には、黄金に輝く大きな鯉がゆったりと泳いでいた。あの大きさになるまで、いったい何年の月日を重ねたのだろう。赤や黒の鯉もいる。この寺が、長い時間をかけて丁寧に継承されてきたことを、鯉たちが物語っているようだった。
境内へ入る門をくぐろうとした瞬間、黄金に輝く扉に目を奪われた。その門を歩く姿を動画に収めただけで、まるで映画のワンシーンのようになった。
本堂に上がると、管理の方がちょうど扉を閉め始めているところだった。ぎりぎり、間に合った。京都駅から徒歩圏内に、これほど美しい寺院が存在すること自体、海外からの観光客にとっては"アメージング"な体験ではないだろうか。飾りすぎない装飾美。短い滞在だったが、深く満ち足りた時間だった。
流れに任せる心地よさ
残りの時間は、カフェへ。駅から近いハワイアンな新しいカフェが、なぜか空いていた。開放的な空間で、ゆったりとした時間を過ごす。
その場で予定を立てながら、すべてが絶妙なタイミングで揃っていく感覚。この「ちょうどよさ」を楽しむことが、私の人生のスタイルなのだと思う。
帰りはいつもの「自由席のぞみ」。アプリで切符を購入し、ホームに上がればあとは来た電車に乗るだけ。名古屋駅でコンセントもつなげる端の席を確保し、パソコンを開く。2時間7分は、あっという間だった。
深い対話、グルメ、カルチャー、感性が磨かれる2日間を過ごした。そして、ありがたすぎることに、私のEtsy Storeで、二人の方が商品を購入してくださったのだ。レビューを書けるよう新規登録から進んでくださり、クッキーから情報がスムーズに反映され、普段Paypalを使っている方ならすぐに購入完了。思っていた以上にシンプルな流れだった。これで、販売数は「3」に。これが呼び水となって、USAからの購入も達成出来たらいいなと思う!
次の大阪セッションで、クリムトとマティスのダブルサイドトートバッグが実際に使われている姿を目にするのが、今から楽しみだ。
次回3月の大阪出張は、サイクリングを楽しみたい。
P.S. Day 1 大阪セッションの記事はこちらです
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