蜷川実花展を堪能した後、駅からの道すがらでみかけた素敵なレストランへ向かいました。天井が高く、観葉植物が豊かに配置された、インテリアがおしゃれな雰囲気の新しいお店です。この辺りは大きなレストランが少ないため、30分待ちと言われましたが、店内では素敵な雑貨も販売されており、向かいにあるダイヤモンドとジュエリーのお店も覗いたりしているうちに、あっという間に順番が来ました。
私たちは開放的な広めのテーブル席に案内されました。メニューを見ると特別な卵を使った料理ばかり。私とTさんはスコッチエッグを、Mさんは湯葉の卵とじを、Tさんはカルボナーラをオーダーしました。一口食べると、それぞれの皿から感嘆の声が上がり、全員が大満足の表情を浮かべています。
デザートも魅力的でしたが、まだお客様のウエイトが続いていたので、名残惜しくお店を後にしました。
駅へ向かって歩いていると、ふと目に入った「知恩院 5分」の案内板。「平安神宮に行くか、知恩院に行くか」と迷った私たちは、ChatGPTに両方のおすすめポイントを尋ねてみました。
結局、国宝の三門、大鐘楼、美しい庭園、そして厳かで荘厳な雰囲気と歴史に惹かれ、知恩院へ向かうことに決めました。
坂道を上がり知恩院に足を踏み入れると、まるで別世界のような静寂が広がっています。下界とは明らかに空気の違う、厳粛な雰囲気に一気に心が引き込まれました。ガイド代わりにChatGPTを音声モードにし、4人で知恩院の見どころを学びながら、思い浮かぶ質問をその場で投げかけていきます。
後から気づきましたが、「そうだ京都へ行こう」の「三門」ではなく、黒門から入ってしまったようです…。
御影堂に入ると、徳川家光の指示で造られた壮大な内部の迫力に圧倒されました。順路に沿って進み、うぐいす張りの渡り廊下をキュッキュと音を立てながら歩いていくと、「え!こんなところに!」と驚くような、ぴかぴかの新しい木造トイレがあったので、少し休憩することにしました。
トイレを出て先に進むと、荘厳な阿弥陀堂が現れました。ドラマ『SHOGUN』のような大広間があり、その奥には荘厳な阿弥陀如来像が安置されています。多くの外国人観光客も深く感銘を受けた様子で見入っていました。
さらに先へ進もうとしたとき、「あ、傘をトイレに忘れてきてしまった!」と気づきました。すぐに取りに戻り、皆のいる場所に戻ろうとしたその場所から、ドラマのような風景が見えました。向こうから数人の僧侶たちが厳かに歩いてくるではありませんか。そして中央には、車椅子に乗られた大僧正の姿が。浄土宗の最高位である大僧正の威厳ある佇まいに、私たちや外国人観光客たちは、思わず渡り廊下の脇に寄り、静かに見守りました。
まるでドラマのワンシーンのような光景に、現実感が揺らぎます。普段は決して見られない特別な瞬間に立ち会っていることを実感しました。車椅子の大僧正は立ち上がり、御影堂の中へと吸い込まれるように入っていきました。そして私たちも正面入り口から御影堂へ入り、厳かに響くお経に耳を傾けました。外国人観光客たちも正座をして、5分以上は浄土宗の荘厳なお経に聞き入っていました。
もし傘を忘れていなければ、この神秘的な瞬間に立ち会うことはなかったのだと思うと、不思議な縁を感じずにはいられませんでした。この日、知恩院で感じた時間の流れは、どこか現実を超えた特別なものだったように思います。そして、いろいろと調べてみると、大僧正 94歳でございました。
この写真、浮世絵のように雨が線になっている!
私たちは、「大鐘楼」へ。知恩院の境内にそびえ立つ「大鐘楼(だいしょうろう)」は、日本三大名鐘の一つに数えられる巨大な鐘です。高さ3.3メートル、直径2.8メートル、重さ約70トンにも及ぶこの鐘は、日本最大級の梵鐘としても知られています。
特に大晦日の「除夜の鐘」は圧巻で、僧侶17名が力を合わせて鐘を撞く光景は知恩院の冬の風物詩となっています。その迫力は映像や写真では伝えきれないほど。鐘を撞く際には、僧侶たちが「えい、ひとつ」「そーれ!」という掛け声を合わせながら綱を引き、見事に調和した動きで巨大な鐘を鳴らします。(動画がありました)
鐘を見上げながら、「こんな巨大なもの、一体どうやって運んだんだろう?」と、ふと疑問が湧きました。重さは約70トン。江戸時代にクレーンや大型トラックがあるわけでもない。では、一体どうやって?
ChatGPTに尋ねると、驚くべき方法が明らかになりました。鐘の鋳造は知恩院の近くではなく、京都市内の別の場所で行われ、そこから木製のソリのようなものに乗せ、人力で少しずつ引いて運ばれたというのです。しかも、鐘があまりに重いため、道には丸太を敷き、その上を転がしながら進めたのだとか。現代のような重機がない時代に、数百人、あるいはそれ以上の人々が力を合わせ、掛け声をかけながら少しずつ運んでいった光景が目に浮かびます。彼らの手には豆ができ、汗が流れ、何度も休みながら、それでも前へ進んでいったのでしょう。大鐘楼の前に立ちながら、江戸時代の人々の息遣いを感じるような、そんな時間でした。
知恩院をたっぷり堪能した後、円山公園を経由して祇園方面へと足を運びました。公園内を歩いていると、またしても私は写真撮影を頼まれる場面が。今回は外国人観光客からのリクエストで、3パターンの背景をカメラに収めました。旅の思い出づくりのお手伝いができて、なんだか嬉しい気持ちになります。それにしても、観光スポットのどこにいても頼まれる。そういう設定にしているからだわ。(笑)
祇園四条へ向かう道中、「清水寺 2km」という誘惑的な案内板を発見。思わず足を向けそうになりましたが、時計を見ると既に午後3時。清水寺観光は次回のお楽しみにして、先ほどランチでパスしたデザートタイムを優先することにしました。
京都らしいカフェを探しながら歩きますが、見つかるのはほとんどが小豆か和風パフェのお店ばかり。もう少しで駅...というところで、ふと頭に浮かんだのは「抹茶ティラミスがあったらいいのに」という願望。上野と鎌倉で以前味わった京都の味を思い出した瞬間、驚くことに、まさにその店の前に立っていたのです。まるで念力が働いたかのような偶然に、思わず笑みがこぼれました。
店内に入ると、運よく4人掛けの席が空いています。注文した抹茶ティラミスは、コーヒーではなく玄米茶やほうじ茶と一緒にいただくことで、その風味が見事に引き立ちます。濃厚な抹茶の苦みとマスカルポーネの甘さのハーモニーに、ほっと一息つきました。
こうして、二日間の大阪出張が幕を閉じました。京都駅へ向かうタクシーの中で、新幹線の自由席をネット予約。スムーズに一号車へ乗り込み、窓際の席を確保しました。
車窓に流れる景色を横目に、動画の編集やメルマガの作成に没頭。気づけば時間はあっという間に過ぎ、列車はすでに品川駅に滑り込んでいました。
そこからもやるべきことは尽きず、結局、深夜3時にようやく就寝。それでも、大阪のいつものメンバーから届いた感想を眺めながら、充実した二日間を振り返ります。
「春場所」——まるで季節ごとに巡ってくる恒例の出張。今回も、刺激と学び、そして笑いに満ちた素晴らしい時間でした。特に今回は、未来へ行ってきました。
きっと次の「場所」は、新しい世界線上にあるのでしょう。(笑)
次に会うとき、皆それぞれの景色が変わっているはず。その変化のための種を、この春場所で蒔くことができたから。
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