反田恭平さん Japan National Orchestra@サントリーホール:オールベートーヴェンプログラム

 昨晩、サントリーホールで反田恭平さんが率いるJapan National Orchestraのオールベートーヴェンプログラムを堪能しました。壮麗なサントリーホールの音響と、反田さんの卓越した指揮・オーケストラの演奏たちのうねるような波は、前日に見た葛飾北斎の波のごとく。その迫力は、演奏者たちの緊張感まで伝わってくるほどで、音楽の力強さと美しさを存分に味わうことができました。

 今回は、ステージを後ろ斜めから見下ろす2階の席です。反田さんが指揮とピアノを演奏されるため、このアングルはベストな位置だと感じました。正面からだと反田さんの後ろ姿しか見えませんが、この席なら反田さんの表情や指先の動きまでしっかりと見られて、ラストシーンまで釘付けでした。

 今回のプログラムには、序曲「コリオラン」作品62、交響曲第2番 ニ長調 作品36、そして「皇帝」として知られるピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73が演奏され、さまざな感動体験ができました。


ベートーヴェン:序曲「コリオラン」作品62

この曲は、ベートーヴェンがコリオランという悲劇の英雄の物語にインスピレーションを受けて書き上げた作品です。曲が始まった瞬間から、劇的な弦の力強い音色に緊迫感が一気に伝わってきました。反田さんの全身全霊のタクトが奏者たちを導き、曲のテーマのとおり、音の一つ一つがまるで英雄の葛藤と決意を描き出しているかのようでした。息がピッタリのパフォーマンスに感動しました。

♪ Beethoven: Overture "Coriolan," Op. 62

ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 作品36

続いて演奏された交響曲第2番は、ベートーヴェンの初期交響曲の中でも明るく、軽快な印象が特徴です。この曲は、特に第二楽章の優美なメロディが心に染み渡り、幸福感に包まれます。

♪ Beethoven: Symphony No. 2 in D major, Op. 36


~休憩~

 休憩中にセンターにピアノが運ばれてきました。指揮をされるため、蓋が全開になっていました。2階席から眺めていて気づいたことですが、Japan National Orchestraの特徴として、若い奏者が多く、さらに女性奏者の割合が非常に高いのが印象的でした。特に金管楽器では、ホルンの男性奏者1名を除いて、ほとんどが女性のようでした。


ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」

 「皇帝」では、反田さんが指揮とピアノの技術を同時に披露するそのダブルパフォーマンスは、まさに圧巻。ピアノの演奏に集中すべき場面が多いにもかかわらず、ソロパートが終わるとすぐに立ち上がり、指揮に移る。ピアノで手が離せない瞬間、タクトがふられていないからこそ、オーケストラ全体との見えない絆が感じられたのかもしれません。


♪ Beethoven: Piano Concerto No. 5 in E-flat major, Op. 73 "Emperor

アンコール:ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番 第2楽章

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番 第2楽章は、心の奥深くに響くような美しさと癒しに満ちた楽章です。演奏が始まると、オーケストラの荘厳で重厚な音色が静かに広がり、それに応えるようにピアノが優雅で繊細な旋律を奏でます。まるで対話をするかのように進行する音楽は、聴く者の心に直接語りかけ、癒しの効果もありました。演奏が終わると、サントリーホール全体が一瞬の静寂に包まれ、その余韻を感じ取るように反田さんも静かに指揮を終えました。その後、会場はすぐに大きな拍手に包まれました。


 私はアレルギー性の咳はほとんど治っていたものの、少し心配していました。しかし、演奏が始まると不思議と呼吸が穏やかになり、体内に良いエネルギーが巡っているように感じ、全く問題ありませんでした。意識して背もたれに寄りかからず、座骨を立てて姿勢よく座っていたことも、体調に良かったのかもしれません。おかげで安心して演奏を楽しむことができました。特にベートーヴェンやモーツァルト、バッハなどの作品は、リズムや音楽の調和が心を落ち着かせ、深いリラクゼーションを促すことが多いそうです。


 2時間にわたる演奏にこちらも少しの緊張感を持ち、集中しながらも、癒しの時間を過ごすことができました。素晴らしい演奏に耳を傾ける中で、ここまで息の合ったパフォーマンスを実現するために重ねてきた努力が感じられ、心から感動しました。人間として最高のパフォーマンスを発揮している皆さんの姿に、こちらも自然と身が引き締まる思いです。その素晴らしい波動に身をゆだねながら、私自身もレベルアップした気分になりました。ありがとうございました。


P.S. "Emily in Paris" でマニアだけにバズっている(笑) My モナリザのエコバッグを持って行きました。ピアノリサイタルでは、次回の公演のチラシなどをいただくことが多いので、この大きさがとても役立ちました。そして何より、クラシックな会場にぴったりのデザインですね。(笑) ★モナリザエコバックは、ここだけ!