2014年ころにお会いしてから、ピアノリサイタルにお伺いしているピアニストの富永峻さん。昨年、稲垣吾郎さんの舞台『No.9 -不滅の旋律-』にてピアニストとしてご出演されていると、風の便りで聞きまして、さらに飛躍されていました! しかもどことなく、稲垣吾郎さんに雰囲気も似てらっしゃる!
しかし、気づいたときには舞台のチケットはSold outしていましたから、まあ次のリサイタルがあればと思っていました。そんなとき、ソノリウムのご案内がFacebookから目に入りまして、かつて富永さんのリサイタルに行ったことのある4人をお誘いして、行って参りました。
今回の演奏曲は、名前が雰囲気でしか覚えられていない(笑)「ラフマニノフ」の超難関な曲をはじめ、ドビュッシー、シマノフスキー、バルトーク、ブロコフィエフの練習曲(エチュード)というラインナップです。最近は、もっぱら癒し系のフジコヘミングさんのピアノリサイタルばかりお伺いしていたので、今回の富永さんは、対極にあると言ってもいいかもしれません。どうなったでしょうか?
ソノリウムのある永福町に住むクライアントさんがいらっしゃって、前列席を取ってくださっていました。今はピアノを弾く機会がない私たちは、ピアニストの手の動きよりも、表情が見える右側の席に好んで座ります。ピアノも蓋が全開ですので音の迫力も感じらる場所です。
まずは、練習曲(エチュード)シリーズです。ドビュッシーから。「5本の指のために」の富永さんの6月の映像ありました。「ドレミファソファミレド」で始まる、基本からスタートです。
しかし、どんどんマニアックな領域になっていき、バルトークにきたときに、不協和音の連続で聴いているほうにも緊張感を感じさせる音になっていったのです。しかも突然、ぎょっとするような、絶対にこれを流しながら、Studyはできないでしょう。逆に、頭のなかの雑念を追い払い、ピアノの音で頭をいっぱいに満たしてみたいとき。刺激が欲しいときはいいのかもしれません。こんなピアノ鑑賞方法があったのか?!という、新しい世界に完全に迷い込みました。感想を言おうとしても、新感触すぎて、言葉にならないのです。みんな「すごい」としか言葉になりませんでした。
そんなプロフェッショナルな富永さんの指の動きが、映像として観られるようになっていました。スペクタキュラーな芸術的な速度で、観たこともない人間の領域でした。あ、この言葉はこういう時に使うのか! 天才です。
ところで、バルトークって民族音楽の研究をしていた人だなと、幼馴染のピアニストのコンサートへ行ったときに、彼女がそう話していたことを思い出しました。今月も彼女のピアノリサイタルへ行くのですが、ちょうど選曲が「バルトーク」だらけで、彼女はバルトークが研究の対象のようなのです。そのリサイタルは、練習曲でないバルトークが聴かれそうで、興味が湧いてきました。
富永さんが弾いていた中でも、一番インパクトのあったバルトークのエチュード。YouTubeで調べてみると、楽譜とともにありました。ちょっと聞いてみてください。こういう曲は、なかなか一般向けのピアノコンサートではお目に掛かれない貴重な体験となりました。
以下、解説を読んでみると、何のための練習なのか少しわかった気がしました。
それにしても、素人からするとメロディーもリズムもなさそうな、超速の演奏でしたから、口ずさむことはもはや不可能ですし、一体楽譜はどうなっているのだろうか? ピアニストの記憶の領域はどうなっているのだろうか? と謎だらけ。それで楽譜を見ても、やっぱり謎は解明されず、(笑)そもそも「練習曲ってなに?」と言うことが知りたくなりました。そして以下のサイトを見つけました。
「バイエル、ハノン、チェルニー」知ってますとも。つまらない練習。これはエチュードだったんですね。私のピアノの先生ってそういうことまで、お話していたんだろうか? 私が聴いていなかったのか、教えてもらわなかったのか? 知りませんでした。
ところが、ショパンの『別れの曲』『エオリアンハーブ』も練習曲という記述を読んで驚きました。フジコヘミングさんのゆっくり目の『エオリアンハーブ』が大好きで何度も聞いていたのですが、練習曲だったなんて。でもこれがショパンの特殊性だったそうで、特定の課題を盛り込みつつ、芸術性も併せ持っていたという練習曲を作ってしまうショパン。What a man!
でも今回、富永さん仕様の超難曲の練習曲を聞かせて頂いて、まるで音の滝に打たれているような修行感と同時に、美しい音色の裏では、こういった練習は欠かせないという、インヤン(yin - yang)。無になって聴きました。ピアニストの弾くエチュードは神聖。しかも、教会のようなソノリウムにいては、グットきます。高次元な体験だったのかもしれません。
2部はついに「曲」です。(笑)ラフマニノフ『楽興の時 Op.16-1』から始まりました。修行のような練習曲ですごいエネルギーを使ったであろう富永さんでしたが、視覚的には姿勢が美しく、Coolで、終始優雅な演奏でした。もう少し音の特徴も感じてみたいものですが、なんせ曲が超難曲のため、スゴイ!で圧倒されて、まだまだ私の聴覚の感性の修行が足りないようです。(笑)2016年のソノリウム収録会でのラフマニノフ。私も観に行った時の映像がありました。何度も聴いて、耳を鍛えたい!
終わったあとに、永福町で食事をしようと思い、有名なピザやなどもチェックしましたが、お祭りのため、ものすごい人で入れず、結局、ソノリウムに近い洋食屋さんへ。
ピアノのあとなのに、みなさんかなりぐったりしている様子?! 音の洪水に巻き込まれ、脳細胞の冷却時間が必要のようです。たまたまシェフが一人しかいないお店で、すごくゆっくりと料理が運ばれてきまして、だんだんとエネルギーが湧いてきました!
こちら、1時間くらい待ったカツサンド。(笑)アルプス山脈のようです。ヨーロッパの風が吹いています。おいしかったですけどね。大変濃厚な洋食のため、オムライス、グラタンの皆さんもすぐには立ち上がれず、カロリー消費のため、ひと駅分、明大前まで2キロくらいみんなで散歩して、Deepな「楽興の時」を過ごしました。(笑)そして、このブログを書くのにも4時間。こちらも濃密なピアノの旅となりました。
富永峻さん、「シュン・ティアーデ」※(笑)ありがとうございました! 次回は、2020年4月26日白寿ホール、9/26ソノリウムだそうです! リマインダーしておきます!
※シューベルティアーデ(シューベルトが仲の良い友だちを呼んで自宅のサロンで開催したコンサートの意味)
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