7 らくベジ!レンジの中で起きていた、小さな科学実験


カキフライの付け合わせに、

キャベツと小松菜としめじを入れて、

レンジの「らくチン!ベジ」を押しただけだった。


水は入れていない。

なのに、開けた瞬間、

ちゃんと“蒸し野菜”の顔をしていた。


キャベツはやわらかく、

小松菜は少しシャキッと、

しめじはぷりっとしている。


同じ容器に入っていたのに、

それぞれ違う仕上がり。

どういうことなんだろう、と思った。

GPTに聞いてみた。


レンジは、火を入れているわけじゃない。

マイクロ波で「水」を揺らしている。


つまり、

水が多いところから先に温まる。


キャベツと小松菜は、

自分の中の水分を先に温められて、

蒸気を出す。


その蒸気が、

あとから温まるしめじを包む。


容器の中に、

即席の蒸し器ができている。


誰かが設計したわけでもなく、

ただ野菜の性質がそうだから、

そうなる。


しかも、水が蒸発している間、

温度は100℃あたりで止まる。


だから、

葉っぱは溶けないし、

きのこは縮みすぎない。

勝手に「やりすぎ防止」がかかる。


自然の仕組みと、

電子レンジの仕組みが、

何も言わずに協力している。


料理をしている、というより、

野菜たちが自分で調整して、

私はスタートボタンを押しただけだった。


台所で起きていたのは、

手間の削減じゃなくて、

物理と生物の共同作業だった。



カキフライは、

買ってきたものをトースターで温め直した。


衣がふっと立ち上がって、

中の牡蠣の水分が戻って、

ちゃんと「揚げたての記憶」に近づく。


その横に、

レンジの中で静かに出来上がっていた野菜たち。


片方は“乾いた熱”。

片方は“湿った熱”。


対照的なのに、

同じ食卓に並ぶと、

なぜか落ち着く。


カキフライは、油と旨味のかたまり。

口の中に残る余韻が濃い。

そこに、蒸し野菜をひと口。


水分と繊維が、

口の中の景色を一度リセットする。


するとまた、

次のカキフライが

新しい味として入ってくる。

味が続いているのに、

重ならない。


柔らかめに土鍋で炊いた

玄米と白米のごはんもすすむ。

乾いた熱と、蒸気の熱。

揚げ物と葉物。


まったく違う調理なのに、

同じキッチンの中で

自然にバランスが取れていく。


台所は、

たまに、理科室みたいになる。

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