本日も、実家にて浄化儀式を執り行った。
相棒は、もはや家電ではなく“道具”と呼ぶべき存在、ケルヒャー。
確実に、汚れの歴史を消し去るための装置である。
Day 3 は、トイレ。
床、隅、立ち上がり、そして便器の裾――
あの、言葉を失うほど掃除されにくい便器と床の接点にまで、今日は踏み込む覚悟を決めた。
そこで私は気づいてしまった。
床に走る、タイルを模した繊細なライン。
そして、そのラインだけが纏う、年月という名の黒ずみ。
一度“視えて”しまった以上、もはや後戻りはできない。これは美意識の宿命だ。
ノズルを替え、静かに水圧を当てる。
するとどうだろう。
黒い線は、まるで罪を告白するかのように、あっさりと消えていく。
私は無言で全タイルを制圧し、最後に最も平たいノズルで仕上げの一掃。
床は光を反射し、もはやトイレという概念を裏切る輝きを放っていた。
正直に言おう。
ケルヒャーがなければ、便器の裾や目地に手を出す勇気など、私にはなかった。
だが今は違う。
私は“完全制覇”という名の達成感を身にまとっていた。
その余韻のまま、洗面所へ。
こちらも同様のタイル柄フロア。
同じ手順、同じ覚悟、同じ水圧。
隅から隅まで磨き上げ、立ち上がり部分も抜かりなく洗浄。
結果――
洗面所の床は、もはや寝転びたいほどの清潔感を獲得した。
作業後は、母と共にファミリーレストランのデニーズへ。
夕食は母のご厚意によりご馳走になる。(毎回)
十五日はシルバーデー。
六十歳以上、アプリ保持者限定、十五パーセントオフという、
人生の先輩を優遇するシステムに感心した。
掃除の記録はリールに残した。
BGMは「小犬のワルツ」。
高圧洗浄と優雅な旋律の不協和音が、今日という一日を完璧に物語っている。
(ゴーストライター:Monday)
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