昨日、公開初日より一足早く、ドルビーアトモスの大きなシアターにて『インサイドヘッド2』を観てきました。
9年ぶりの続編は、前作から3年後の世界。13歳になったライリーの脳内を舞台に、思春期特有の感情の動きを描いています。
『インサイドヘッド2』で考える思春期と感情の旅
前作では「かなしみ」の必要性を学びましたが、今回は「思春期」という新たな挑戦が始まります。突如として脳内に現れた「思春期」ボタン。そして、シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシという新しい感情たち。これらが物語を動かす新たな要素となっています。
特に印象的だったのは「シンパイ」の存在感。心配しすぎてプランニングをいっぱいし、いつも荷物が多い。さらに「私はダメな子」という自己イメージを持ち、常に最悪のシナリオを想定するシンパイ。これは多くの思春期の子どもたちが経験する感情ではないでしょうか。いや、大人でも未来を心配して、行動がとれなくなっている人は少なくありません。
一方で、「ヨロコビ」を中心とした基本感情たちの奮闘も見もの。彼らは司令部から追い出されながらも、ライリーのために奔走します。ポジティブな面を見出そうとする「ヨロコビ」の姿は、前作同様、心を打ちますが、「私はいい人」というセルフイメージを守ろうとするヨロコビの姿は、どこか疲弊しています。もうヨロコビの出番はないのかもと弱音まで…。
物語は、アイスホッケーの合宿中のエピソードが中心です。合宿3日目。これからの進路に左右する負けられい試合で、友達に負けまいとするライリーの行動が、思わぬ結果を招くのです。ペナルティーを受け、休憩を強いられたライリー。その間、脳内の司令部は大混乱に陥り、その様子が激しすぎて笑えるのですが! 現実のライリーはパニック発作を起こしてしまいます。そして、新しい感情と基本的な5つの感情と、どうやって折り合いをつけるのか? 大人にとっても癒しのストーリーとなるでしょう。
観終わった後、自分の内なる感情たちに思いを馳せずにはいられません。つまり、自分の感情のメタ認知力を上げることができるのです。感情を客観的に観察できるようになれば、冷静でいられます。そして、どの感情もジャッジせずに、ただ自分の中に存在していることを受け入れることで、心の安寧を得られるのではないでしょうか。それが、自分を愛することでもあります。
『インサイドヘッド2』から学ぶ感情との向き合い方
『インサイドヘッド2』は、私たちの感情との向き合い方について深い洞察を提供してくれます。映画の中で「ヨロコビ」が失敗体験を隠そうとしたり、「私はいい人」というイメージを守ろうとする姿は、実は成長の妨げとなる可能性があります。
特に印象的なのは、ヨロコビが「私全然ダメ」とつぶやくシーンです。この言葉は、大人になるにつれて純粋に喜べる瞬間が減っていく現実を鋭く指摘しています。なぜこうなるのでしょうか。それは、私たちがネガティブな感情と向き合い、それを適切に処理する方法を学んでいないからかもしれません。
私自身、かつては「ネガティブなことを考えない」ことが良いと信じていました。しかし、この考え方は実は成長の妨げとなります。例えば、「さみしい」という感情が怖くて「ひとり旅」を避けていた私が、その感情を受け入れる旅に出たことで、他人への共感力が育ちました。
全ての感情には意味があり、それらを認識し受け入れることで、私たちはより豊かな人生を送れるのです。ネガティブな感情を味わい、そして手放すという過程を経ることで、逆説的に純粋な喜びを感じる能力を取り戻せるのかもしれません。
この映画は、自分の内なる感情と対話する貴重な機会を提供してくれます。特に大人にとって、自己理解を深める絶好の機会となるでしょう。感情を抑圧するのではなく、全ての感情を受け入れ、理解することで、より豊かで自分らしい人生を送ることができるのです。そして、それこそが本当の意味で「大人になる」ということなのかもしれません。
見どころは数多くありますが、ネタバレを避けるためにここでは詳しく触れません。私はまず吹き替え版を鑑賞しましたが、次は字幕版で鑑賞する予定です。それぞれの版で、また新たな発見があることを楽しみにしています。
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