映画『声をかくす人』鑑賞。

 映画『声をかくす人』鑑賞しました。何かの映画を観たときに、予告編でチェックしておいたものでした。東京だと、銀座テアトルシネマくらいというマニアックさです。

 あらすじは・・・南北戦争が終わったアメリカ。リンカーン大統領の暗殺が起こり、アジトをかくまったとして共犯者として逮捕されたメアリー・サラット(女性)の死刑執行までの物語です。






公式HP

 逮捕された時点で、国としての判断では、有罪が確定のようなところで、若手弁護士フレデリックがつき、最初、彼は、無罪を主張することは難しいと考えていたのですが、「私は無罪」とだけ主張するサラットに対して、隠している真実があるのではないかと、フレディックが思い始め、国との熱い戦いの模様が映画では、主なシーンでした。

 「真実」があるのに、語らないサラットが、最も守りたいもの・・・というところに、愛の強さを感じました。段々と、弁護士のフレディックが、そういうサラットを死刑だけにはさせまいと、友達や恋人を失ってしまってでも、守ろうとしたところも涙を誘いました。最初は、自分の名声のためにのような振る舞いでしたが、次第に、サラットの無実を信じて、「真実」を追究していく真剣さに観ている方も吸いこまれていきました。

 とはいっても、真実は、誰にもわからないのですが、「個人」のことよりも、あの時代は、「国家」なのか、今とは価値観の違う世界。時代のむごさというか、全体的な不安さと言うか、「正義」を守るためなのか。見せしめのようなものだったり。

 毎日は続いているのに、刻々と時代は、変化していくものです。昨日と今日はもう違うものなのでしょう。わずか150年前のことにも驚きます。

 この映画の監督は、『リバー・ランズ・スルー・イット』のロバート・レッドフォード。
監督は、映画のインタビューで、「アメリカの史実を描きたい。物語を正しく伝えることが大事なんだ。観客に対する責任なんだと思う。ライフワークに等しい」と語っていました。そんな熱い思いを感じ取りました。

 映像の光の使い方がとても印象的でした。19世紀の世界に観客を引き込むような。こういう真実があったんだというのが、伝わるような。

 最後に 、「声をかくす人」というのは邦題で、原題は、「The Conspirator」。
この邦題は、日本人の私としては、惹かれた題名でありました。観てみて、よりそれが伝わる作品でありました。