大人走り。

「なんか、走っているのって目立つわよね」

突然母がつぶやいた。




「おおお!走ってる!走ってる!」

指をさしながら、私は、発見した喜びとともに発言した。


「走ってる!走ってる!って2回言わなくても 爆」

妹があきれ顔×笑い顔で言った。


「『だって、走ってる!』ってだけじゃ、

なんか一生懸命さ、伝わらないじゃん」



時間は20時。

20時の待ち合わせに間に合わない人たちが

小走りで走る。


ひとりだけ、本気に近い勢いで走っている男性も。


「わはは!あのひとはやっ!」




走るのは、女性が多い。


「お化粧が間に合わなかったとか、

そういうのってあるから、女性は走るんだよ」


「あんた、深読みしすぎじゃない? 笑」








「あのひとの走り、優雅ねぇ」


「どうせ、走るなら、本気のみたいね」


「でも、こういうところでは、走りにくいでしょうね」


「そっか、そうだねぇ」



といいながら、15分も窓の外を見ていた。



大人が走るのって、いいな。