鎌倉に山があったとは! 天園ハイキングと25,475歩の一日

「明日、山に行かない?」

前日、登山バディーから突然のお誘いがあった。

ちょうど新しい登山靴を探していたところだったので、この機会に買ってしまおうと思い立った。

その日は英会話のレッスンで新宿にいたのだが、代官山で美容院を済ませたあと、再び新宿へ。石井スポーツで、以前試着していたAKUの登山靴を購入することにした。

ちょうど秋のフェアが開催されていて、お目当ての靴には1,000ポイントの特典まで付いていた。急な買い物だったのに、妙にタイミングがいい。(笑)

靴を手に入れたところで、ようやく翌日の行き先が決まった。

鎌倉の天園ハイキングコース。

鎌倉にそんな山があったとは知らなかった。バディーが7月に一度歩いて、なかなかよかったという。北鎌倉なら電車で1時間ほどだし、午前中に山を歩けば、午後は鎌倉散策も楽しめる。

新しい登山靴のデビューには、うってつけの場所だった。


竹林を抜ける風

翌朝9時20分、北鎌倉に到着。

ところが、電車に乗っているときから、右足の指先に妙な窮屈さを感じていた。まだ一歩も山道を歩いていないのに、これはどうしたことか。

靴下の履き方が悪いのかもしれないと思い、いったん履き直してから登山口へ向かった。

9時51分、入山。

この日の山で印象に残っているのは、風の音だ。

森の中を絶えず風が渡り、木々が大きく揺れている。その響きは、遠くで波が打ち寄せているようでもあった。

途中、すれ違った年配の登山者から「ハチがいるから気をつけて」と声をかけられた。幸い、一度も遭遇することはなかった。これだけ風が吹いていたからだろうか。

道は思っていた以上に変化に富んでいた。

竹藪の中には、人が一人通るのがやっとというほど細い道もある。週末とあって行き交う人も多く、互いに道を譲りながら進んだ。

竹の葉が風に揺れる。その向こうには鎌倉の家並みがあり、さらに遠くには海が見える。

山の中を歩いているのに、街も海もすぐそばにある。

低山ならではの景色なのだろう。ハイキングの気軽さと、登山らしいアップダウンが一つのコースに収まっている。

歩いているうちに景色が次々と入れ替わるので、飽きることがない。

ただし、右足の違和感だけは相変わらずだった。

休憩のたびに靴下を履き直してみる。その場では少し楽になるものの、しばらく歩くと、また指先が気になる。

初めて履くAKUの靴が、足に合っていないのだろうか。

そんな疑問を抱えたまま、11時21分に天園へ。11時52分には下山した。

山行そのものは約2時間。午前中で歩き終えられる、コンパクトなコースだった。

50%の確率を外した話

下山後、もう一度靴下を脱いでみた。

右足の指先が、どうにもおかしい。

靴下を広げて眺めていると、土踏まずのあたりにあるはずの柄が、なぜか足の側面に来ている。

「あれ? なんか柄の位置がおかしくない?」

するとバディーが言った。

「R、Lって書いてない?」

言われて確認すると、確かに書いてある。

そして、左右が逆だった。

なんと、登山ソックスを右と左、反対に履いていたのである。(笑)

いつもとは違う靴下を選んだのだが、左右の区別があることをすっかり忘れていた。

土踏まずの位置が逆なら、つま先の形も逆になる。親指が収まるべきところに、小指用の短いスペースが来ていたのだから、窮屈で当然だ。

それなのに、なぜか左足はそれほど気にならなかった。

右か左か。二つに一つの選択で、見事に間違えた。

新しい登山靴を疑い、何度も靴下を履き直し、結局、原因は自分だったというオチである。

バディーとひとしきり笑った。

左右を正しく履き直してからは、指先の違和感もなくなった。

それにしても、2時間程度の山でよかった。

香りの先にあったマフィン屋さん

山を下りたあとは、鎌倉散策へ。

バディーが二階堂にマフィンのお店があるというので、まずはそこを目指した。

住宅街を歩いていると、どこからともなく甘い焼き菓子の香りが漂ってきた。

ところが、しばらく進むと香りが消えてしまった。

どうやら曲がる道を間違えたらしい。

少し引き返すと、再びあの香りがしてきた。お店は、やはりそのあたりにあった。(笑)

白い平屋建ての「オカシニカイドウ」。

小さなお店の中にはお客さんが次々と訪れ、ショーケースには具材の組み合わせが楽しいマフィンが並んでいた。一つ500円弱と、なかなか立派なお値段である。

私が選んだのは、リンゴとサワークリーム。もう一つ、黒ゴマとサツマイモをお土産に購入した。

近くの公園に小さなベンチを見つけ、そこでリンゴとサワークリームのマフィンをいただくことにした。

手に取ると、まだほんのりと温かい。

ひと口食べると、想像していたマフィンとはずいぶん違っていた。

具材がたっぷり入っていて、しっとりと重みがある。マフィンというより、ひとつのケーキを食べているような満足感だ。

リンゴとサワークリームの組み合わせも新鮮で、これまで食べたことのない味わいだった。

森の中を歩き、風に吹かれ、ようやく腰を下ろしたところで食べるマフィン。

おいしさには、食べるまでの時間も含まれているのかもしれない。


鎌倉は、歩くほど寄り道が増える

さらに歩いていると、今度はパン屋さんが現れた。

「モン・ペシェ・ミニョン」。

フランスの街角を思わせる店構えで、こちらもお客さんでいっぱいだった。

窓越しに見えるバゲットをはじめ、どのパンもおいしそうだ。

ここではイチジクのスコーンと、翌日の食事用にブールを購入。

マフィン屋さんに続いてパン屋さん。山を下りてからも、思いがけない楽しみが続く。

そのまま鎌倉駅方面へ歩き始めた。

目的地まであと何キロあるのか、特に調べることもなく、ただ道なりに歩いていく。

半袖で歩いていても、寒くも暑くもない。10月半ばとは思えないほど日差しは強かったので、日傘を差した。

山では木々が日差しを遮ってくれたけれど、街に出ると、まだ夏の名残がある。


14時30分、ようやくランチ

鎌倉駅に近づいたところで、そろそろ昼食を食べようということになった。

御成通りには、パスタ、ラーメン、ハンバーグなど、気になるお店がいくつもある。しかし、どこも決め手に欠ける。

通りを一往復して、少し路地に入ったところで見つけたのが、タイ料理の「クリヤム」だった。

時計はもう14時半近く。店内も混んでいなさそうなので、ここに決めた。

白い壁に、木のテーブルと大きなベンチのような椅子。装飾を抑えたシンプルな空間で、落ち着いた雰囲気が心地よい。

さて、何を食べよう。

ガパオは普段から自分でも作るので、今日は違うものにしたい。

そこでChatGPTにおすすめを聞いてみたところ、パッタイとグリーンカレーを提案された。

それなら両方注文して、二人でシェアすることにしよう。

まずパッタイは、エビや野菜、ピーナッツなどが入ったタイ風の焼きビーフン。もちもちとした米麺にさまざまな食感が重なって、食べ飽きないおいしさだった。

グリーンカレーも、辛すぎず、野菜がたっぷり。お芋のような具材も入っていて、ココナッツミルクの風味がよく合う。

ご飯の量もなかなか多かったので、一人で一皿ずつ注文していたら、かなり満腹になっていたと思う。

生春巻きや、ナスの酢漬けのような付け合わせまでついて、満足度の高いランチとなった。

偶然入ったお店が、こんなにおいしいとは。

鎌倉の飲食店、なかなか侮れない。


御成通りは、どこかパリに似ている

食事のあとは、御成通りを散策。

以前、母と一緒に歩いたこともある通りだ。

鎌倉の商店街といえば小町通りが有名だけれど、私はどちらかというと御成通りの雰囲気が好きだ。

チェーン店よりも、個人で営む小さなお店が多い。洋服、アクセサリー、雑貨、バッグなど、それぞれに店主の好みが感じられる。

あるお店では、色とりどりの布で作られたトートバッグが目に留まった。

インドの布だろうか。端切れを組み合わせたような柄もあって、一つひとつ表情が違う。

バディーと二人で、あれもいい、これもいい、とバッグを手に取っては見比べる。

結局何も買わなかったのだけれど、こうして探している時間そのものが楽しい。

少し歩けば、また別の気になるお店が現れる。

途中には登山用のアウトフィットを扱うお店もあり、山を歩いてきたばかりの私たちには、こちらも気になる存在だった。

こうして歩いていると、御成通りはどこかパリの街角に似ている気がする。

大きな商業施設にすべてが揃っているのではなく、小さなお店が街のあちこちに点在している。

何があるのか、歩いてみなければわからない。

そんな街の楽しみ方ができるところが好きだ。


クレープを注文した途端に、大行列

タイ料理の後の散策後、ティータイム場所を探していた。

いろいろ検討して、御成通りの「コクリコ」になった。

以前、姪と鎌倉に来たとき、小町通りの店舗にも立ち寄ったことがある。いつも行列ができている人気のクレープ屋さんだ。

メニューを見ると、驚くほど種類が多い。

私は生クリームを使ったものより、シンプルなクレープが食べたかったので、シナモンアップルを選んだ。

そういえば、さっきのマフィンもリンゴだった。

どれだけリンゴが好きなのだろう。(笑)

一方、バディーは種類が多すぎて、なかなか決められない。

私は先に注文を済ませ、クレープを焼くところで待つことにした。

すると、どうしたことか。

私が注文した直後から、次々とお客さんがやってきて、あっという間に大行列になってしまった。

また人を呼んでしまった。(笑)

バディーは、まだメニューを決められないうちに列が長くなってしまったので、今回は諦めることに。

私だけ、焼きたてのシナモンアップルをいただいた。

温かいクレープの中には、想像以上にたっぷりのリンゴ。

生クリームなしでも十分に満足できる、具だくさんのクレープだった。

マフィンもクレープも、今日はリンゴに恵まれた一日である。


最後までラッキーだった

その後は小町通りへ。

クレープを諦めたバディーは、結局、さつま揚げのお店で気になる一品を見つけ、そちらを食べていた。

甘いものにこだわらず、その場で食べたいものを選べるのも、こういう街歩きのよさだろう。

そろそろ一日の締めくくりにコーヒーが飲みたい。

いくつかカフェを探した末、駅前のエクセルシオールに入ることにした。

コーヒーを注文すると、店員さんから「今からドリップするので、5分ほどお時間をいただけますか」と声をかけられた。

なんと、淹れたてのコーヒーが飲めるではないか。

「ラッキーだね!」

バディーも同じコーヒーを注文していたので、二人で喜んだ。

運ばれてきたコーヒーは、驚くほどすっきりとした味わい。

いつも飲んでいるコーヒーでも、淹れたてはこんなに違うものなのかと、改めて感じた。

お目当ての登山靴に1,000ポイントが付いたところから始まり、最後は淹れたてのコーヒー。

なんだか、最後までタイミングのいい一日だった。


25,475歩。それでも元気

帰宅後、歩数を確認すると、25,475歩!

身長166cmの私の場合、山道で歩幅が短くなることも考慮すると、推定で17km前後歩いたことになる。

午前中は山を歩き、午後は鎌倉の街を歩き続けた。

それでも、疲れはほとんど感じていなかった。

帰宅してからも、炊き込みご飯を作り、和食のおかずを用意して、買ってきた刺身とともに夕食をいただいた。

登山のあとは、やっぱりお腹が空く。

その後はジムのお風呂へ行き、洗濯も済ませ、こうして一日を振り返っている。

新しいAKUの登山靴も、足先の問題は靴下の左右間違いだったと判明したので、ひとまず安心。

ただ、以前のメレルと比べると、足首の後ろ側のクッションが薄い。長時間歩くうちに、ミッドカットの履き口が少し当たる感じがあった。

靴擦れや水ぶくれになったわけではないけれど、ここは次回までに改善したいところ。

早速ChatGPTと相談しながら、靴の内側に貼るクッションパッドを探している。

登山靴も、実際に歩いてみて初めてわかることがあるものだ。


それにしても、前日に突然決まった鎌倉ハイキング。

朝は竹林を抜ける風の中にいて、午後は小さなお店が点在する街を歩き、最後は淹れたてのコーヒーで締めくくった。

鎌倉には何度も来ているのに、まだ知らない楽しみ方があった。

そして、次の登山では、靴下のRとLを確認してから出発しようと思う。(笑)


🎥 Vlog完成しました。狭い登山道の様子が分かります。