映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』を観てきた。
始まって早々、スクリーンに東京の景色が映る。
「あ、うちのマンション映ってる(笑)」
それだけで、いきなりテンションが上がった。
私はレインボーブリッジの近くに住んでいる。この場所を好きになった理由のどこかに『踊る大捜査線』があった、と言っても大げさではない。
『レインボーブリッジを封鎖せよ!』はもちろんリアルタイムで観た。『THE MOVIE 3』は試写会に当たって、東京国際フォーラムで観た。
つまり私は、かなり長いこと「踊る」を観ている。
1997年、青島と私のスタート
連続ドラマ『踊る大捜査線』が始まったのは、1997年1月。
私が大学を卒業して社会人になったのは、1997年4月。
『踊る大捜査線』の29年は、そのまま私が社会に出てからの29年だ。
今回の『N.E.W.』は、青島俊作が主人公の映画としては2012年の『THE FINAL 新たなる希望』以来、14年ぶり。公式ビジュアルには、1997年の青島と2026年の青島が並んでいる。
29年。
実際、みんなちゃんと歳をとっていた(笑)。
「おおお、久しぶり!」という顔が次々に出てくる。いやあ、歳とったなあ。そう言う私も、しっかり29年分歳をとっているのだけれど。
ちなみに内田有紀さんだけは、「え? どういうこと?」というくらい変わっていなかった(笑)。
青島が、青島のままだった
そして、織田裕二さん演じる青島俊作。
これがもう、青島なんです。
顔はちゃんと歳をとっている。立場も変わった。周りには若い世代の刑事たちがいる。今度は青島が、若い人たちから「なんでそんなにやる気があるんですか?」という目で見られる側になっている。
時代も変わった。働き方も、仕事への価値観も変わった。AIまで登場する2026年だ。
それでも青島は走る。相変わらず熱くて、相変わらず現場にいる。
相変わらず、青島なのだ。
今回の映画が生まれた背景にも、この話につながるエピソードがあった。
現在58歳の織田裕二さんは、連続ドラマ当時に和久平八郎を演じていた、いかりや長介さんの年齢に近づいている。制作陣によると、織田さん自身が以前から「その年齢になった青島は何をしているのか」と考えていたそうだ。
これを知って、グッときた。
1997年、和久さんからいろいろなものを受け取っていた若い刑事が、29年後には、かつての和久さんに近い年齢になっている。
それでも、青島は青島だった。
年を重ねても、人は別人になるわけじゃない。
そこにいない人たちまで、いた
今回いちばん不思議だったのは、そこにいない人たちまで、いるように感じたことだ。
29年も続いている作品だから、ずっと同じメンバーが揃っているわけではない。それでも、室井さんの気配がある。和久さんの気配がある。すみれさんの気配がある。
人は、その場からいなくなっても、すべて消えてしまうわけではない。交わした言葉や、一緒に経験したことや、その人から受け取ったものは、残された人の中に残っている。
仕事も同じだ。
若い頃にお世話になった人。昔の上司。一緒に働いた仲間。かつてのお客さん。
もう会わなくなった人たちの言葉が、20年、30年経った今の自分の中で生きていることがある。
長く続けるということは、そういう人たちも一緒に連れて歩くことなんだと思う。
だから今回、そこにいない人の気配に、何度も泣かされた。
あの音楽が流れた瞬間、29年前に戻る
そして、やっぱり音楽。
あの曲が流れた瞬間、「キター!!!!!」となる。
最近はクリストファー・ノーランの映画なんかも観ているので、「これはどういう構造なんだ?」「これは何を意味しているんだ?」と、ずいぶん頭を使いながら映画を観るようになった。
ところが今回は、そんなことをほとんど考えなかった。
最初のほうは、ほとんどギャグかというくらい笑った。笑って、東京の街を眺めて、懐かしくなって、また笑って。ときどき泣いた。
仕掛けを分析したり、伏線を探したりする観方ではなかった。あの音楽を聴くと、頭より先に身体が反応する。
29年観ている作品というのは、そういうものなのだろう。
29年経っても、まだ現場にいる
1997年4月、私は社会人になった。
あの頃の私は、会社員を辞めて独立し、20年も自分の仕事を続けることになるなんて思ってもいなかった。
青島の周りに若い世代が入ってきたように、私の周りにも、自分よりずっと若い人たちが増えた。
仕事の仕方も変わった。インターネットが現れ、SNSが現れ、今はAIと一緒に仕事をしている。1997年の私から見たら、ほとんどSFの世界だ。
それでも私は、まだ自分の仕事をしている。
青島も、まだ刑事をしていた。
街は変わる。組織も変わる。一緒にいた人たちも変わる。自分自身も変わる。
それでも、変わらないものが確かにある。
29年分歳をとった青島が、2026年の東京を相変わらず走っている。その姿を見ながら思った。
長く仕事をするというのは、昔の自分のままでいることじゃない。時代に合わせて変わりながら、自分が大切にしてきたものを手放さずに、まだ現場に立っていること。
『踊る大捜査線』を観に行ったはずなのに、気づけば自分の29年まで一緒に観ていた。
久しぶりに、ただ笑って、泣いて、楽しんだ映画だった。
そして何より、青島俊作は29年経っても、やっぱり走っていた。
それを見られただけで、嬉しかった。
また、やるんだろうな(笑)。
0コメント