ハイビスカスの根

先日、花を咲かせたあとのハイビスカスに、次の蕾の気配がなかった。もうそろそろ、枝を整理しようと決めた。

我が家に来て三年。茎は季節ごとに伸びていったけれど、この頃は葉をつけてもすぐに黄色くなってしまうことが続いていた。そろそろ寿命なのかもしれない、と思いながらも、ふと二年前のことを思い出す。天井近くまで伸びきったアルテシマを、再生させることに成功したことがあった。だったら、処分する前に一度、実験してみよう。そう思い立った。

鉢から出してみると、想像していたよりずっと根が張っていた。根詰まり。葉が黄色くなっていた原因は、これだったらしい。原因さえわかれば、あとはシンプルだ。不要な根を整理し、伸びすぎた枝を切り、新しい鉢に植え替えた。

枝には新芽が出ていた。けれど、出たきりで止まっているようにも見えた。これが動き出したら、まだ望みはあるだろう。


それから毎日、様子を見守った。数日後、根詰まりの名残なのか、いくつかの葉が黄色くなって落ちていった。けれどその一方で、小さく芽吹いていた場所から、新しい葉が再生し始めていた。

日々、少しずつ変化していくのを見ているうちに、なんだか嬉しくなってしまった。


思えば、私自身も今年、ずっと根詰まりを起こしていたのかもしれない。二十年も同じ仕事を続けながら、その傍らで別の可能性にも根を伸ばそうとしていた。そうしているうちに、クラウドの中には、自分の記録という名の根詰まりができていた。

けれど最近、AIの「整理する力」を借りて、昔の「ひとみずむ」やお客様の感想、書きためた記事たちを読み込ませ、使えるものをもう一度、芽吹かせている。

人間も、植物も。生きものとして、たぶん同じなのだと思う。五十年も生きていると、再生するために、どうしても一度、整理する時期がやってくるのかもしれない。

我が家のハイビスカスは、そんな私の内側の風景を、そっと映し出しているようにも見える。

冬になると太陽の高度が下がり、私の部屋はまるで温室のようになる。今のうちに準備しておいたから、きっとこの冬は、蕾をいっぱいつけてくれるはずだ。そう願いながら、また葉を見にいく。