年の終わりは、風に乗って帰る

今年も、妹の年賀状づくりを手伝う季節が巡ってきた。

南向きの部屋に太陽の光が差し込む時間からはじまった。

彼女が選ぶ写真は、いつも決まって山の上からの景色だ。

今年選ばれた一枚は、登頂の瞬間を切り取った写真。

澄み切った青空に、波紋のように幾重にも広がる巻雲。

岩稜の頂に立つ登山者たちは、それぞれの達成感を静かに味わっている。

晴れやかで、余計な言葉を必要としない、新年にふさわしい構図だった。

昨年からCanvaを取り入れたことで、作業の流れは驚くほど滑らかになった。

手書きの文字も、背景除去を施せば、青空と岩肌の間に自然と溶け込む。

指先でわずかに位置を整えるだけで、全体のバランスが決まる。

インクジェット用の写真年賀はがきを選べば、あの深い青も、雲の淡い陰影も、そのまま紙の上に定着する。


宛名印刷に取りかかり、Wordファイルを開くと、似た名前のファイルが二つ並んでいた。

不思議に思って中を確認すると、郵便番号が左右に分割されて保存されている。

そうだった。

あの小さな郵便番号枠に、数字を美しく収めるために、わざわざ分けていたのだ。

すっかり忘れていて、思わず小さく笑ってしまった。

手間はかかるが、この方法だと数字は驚くほど端正に収まる。

几帳面さが生む整いは、やはり心地いい。


妹はすでに宛名書きと一言メッセージを済ませていた。

あとは印刷するだけ。

作業を始めてから、およそ二時間。

今年の年賀状は、静かに完成した。


その後、母も合流し、ランチと銀座散歩へ。

29日。仕事納めを迎えた人も多いのだろう。

デパ地下は、年末特有の熱気と期待に包まれていた。

そんな人の波の中で、近所の知人とその子どもにばったり出会う。

なぜか、この人とは、いつも思いがけない場所で再会する。

今年最後の遭遇は、大混雑の銀座三越のデパ地下だった。


ブログは変わらず書き続けるつもりだけれど、

気分としては、昨日で仕事納め。

私は自分へのささやかなご褒美に、ベルンのスイーツを選んだ。

山頂の青空のように、澄んだ気持ちで新年を迎える準備が整う。

年末の静かな午後から、賑わいの銀座へ。良い時間だった。


そして帰り道。

電車ではなく、バイクシェアを選んだ。

年の終わりは、風に乗って帰る。

電動自転車で、ずいぶん楽をしながら。


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