箱根美術館の後の物語は、写真とともに振り返っておきたい。
✦ 箱根登山鉄道の赤
光をまとったレトロな赤い車体。
小学生のころから知っている。
役目を終える直前の104号車と、
私の20年来のメルマガのタイトルを変えた日。
偶然ではないタイミングで出会った。
終わりはいつも静かで、
どこか美しい。
✦九頭龍神社
① お札が落ちない賽銭箱
金属の格子に、お札だけが引っかかって入らない。
どこでももうおなじみの光景で、今回も例外ではなかった。
「そう来たか…」と笑いながら、そのままにしておく。
神さまとの小さなやりとりみたいで、これもまた旅の儀式。
② 湖に浮かぶ鳥居を見送る時間
芦ノ湖の水面は、風がないのにゆっくりと呼吸していた。
鳥居の向こう、遊覧船が重なる瞬間を待ちながら、
九頭龍の岬の先端でしばらく立ち尽くす。
船がゆっくりと光の中を横切っていくその時間だけ、
世界のテンポがひとつ下がる。
ただ眺めているだけなのに、深いところが静かに満ちていく。
✦ “隣の正解” に導かれた蕎麦屋
予定していた店がなくなっていたから、
ふっと隣に入った蕎麦屋「絹引の里」へ。
ChatGPTの一押しのお店だ。
海老天の存在感、季節の野菜、
そして半熟卵の天ぷら。
偶然ではなく、
流れが選んだ味。
✦ 天成園で迎えた夜
締めの日帰り温泉はここに辿り着いた。
箱根湯本からほど近い場所に、
こんなに壮大な温泉旅館があったとは知らなかった。
天成園では、公式サイトにだけそっと載っている 2時間プラン がある。
フロントの案内には書かれていないから、
知っている人だけが辿り着ける、小さな秘密のようなものだ。
タオルも浴衣もセットになっていて、
短い時間でも“旅の終わりの静かな儀式”みたいに心が落ち着いていく。
露天風呂に身を沈めると、
風の温度、湯気の揺れ、遠くで光る山の影がすべてやわらかく混ざり合い、
わずか2時間とは思えないほど深く満たされていった。(写真はWebsiteより)
まるで旅そのものが、
「ここで整えて帰っていきなさい」
とそっと背中を押してくれたような、そんな時間。
📌 天成園
この日は、ただ写真を並べただけでも、
旅の“細部の物語”が静かに浮かび上がってくる。
けれど、これらは箱根で過ごした時間のごく一部。
実際の旅は、もっと大きく、もっと不思議な流れに導かれていた。
その物語は——また別の話として、あらためて綴ろうと思う。
⛩ 九頭竜神社リール動画
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