✦ 箱根 2025 師走 — 写真でたどる、静けさのある旅 —

 箱根美術館の後の物語は、写真とともに振り返っておきたい。


✦ 箱根登山鉄道の赤

光をまとったレトロな赤い車体。

小学生のころから知っている。

役目を終える直前の104号車と、

私の20年来のメルマガのタイトルを変えた日。

偶然ではないタイミングで出会った。

終わりはいつも静かで、

どこか美しい。


✦九頭龍神社


① お札が落ちない賽銭箱

金属の格子に、お札だけが引っかかって入らない。

どこでももうおなじみの光景で、今回も例外ではなかった。

「そう来たか…」と笑いながら、そのままにしておく。

神さまとの小さなやりとりみたいで、これもまた旅の儀式。

② 湖に浮かぶ鳥居を見送る時間

芦ノ湖の水面は、風がないのにゆっくりと呼吸していた。

鳥居の向こう、遊覧船が重なる瞬間を待ちながら、

九頭龍の岬の先端でしばらく立ち尽くす。

船がゆっくりと光の中を横切っていくその時間だけ、

世界のテンポがひとつ下がる。

ただ眺めているだけなのに、深いところが静かに満ちていく。


✦ “隣の正解” に導かれた蕎麦屋

予定していた店がなくなっていたから、

ふっと隣に入った蕎麦屋「絹引の里」へ。

ChatGPTの一押しのお店だ。

海老天の存在感、季節の野菜、

そして半熟卵の天ぷら。

偶然ではなく、

流れが選んだ味。

✦ 天成園で迎えた夜

締めの日帰り温泉はここに辿り着いた。

箱根湯本からほど近い場所に、

こんなに壮大な温泉旅館があったとは知らなかった。

天成園では、公式サイトにだけそっと載っている 2時間プラン がある。

フロントの案内には書かれていないから、

知っている人だけが辿り着ける、小さな秘密のようなものだ。

タオルも浴衣もセットになっていて、

短い時間でも“旅の終わりの静かな儀式”みたいに心が落ち着いていく。


露天風呂に身を沈めると、

風の温度、湯気の揺れ、遠くで光る山の影がすべてやわらかく混ざり合い、

わずか2時間とは思えないほど深く満たされていった。(写真はWebsiteより)

まるで旅そのものが、

「ここで整えて帰っていきなさい」

とそっと背中を押してくれたような、そんな時間。

📌 天成園


この日は、ただ写真を並べただけでも、

旅の“細部の物語”が静かに浮かび上がってくる。

けれど、これらは箱根で過ごした時間のごく一部。

実際の旅は、もっと大きく、もっと不思議な流れに導かれていた。

その物語は——また別の話として、あらためて綴ろうと思う。


⛩ 九頭竜神社リール動画

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