『プレステージ』──ノーラン監督が仕掛ける究極のマジック
今朝の英会話レッスンでクリストファー・ノーラン監督の映画の話題になり、その流れで2006年の映画『プレステージ』をAmazonプライムで鑑賞しました。この作品は、2人のマジシャンが「瞬間移動」という究極のマジックを巡り、激しく争う物語。けれども、映画そのものがまるで一つの壮大なマジックのようで、観客である私たちも最後のどんでん返しで完全に“種明かし”を受けたような気分になります。まさにノーラン監督ならではの巧妙で圧倒的な映画体験でした。
さらに特筆すべきは、ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、スカーレット・ヨハンソンという豪華なキャスト陣。それぞれが緊張感あふれる物語を支えつつも、個々の存在感をしっかりと放っているのが印象的です。特に驚いたのは、この映画が18年前の作品であるにもかかわらず、スカーレット・ヨハンソンの見た目がほとんど変わっていないこと。さらに意外だったのが、彼女の声が現在よりも高めだったことです。ハスキーボイスで知られ、OpenAIから「ChatGPTの声にしてほしい」と依頼を受けたほどの彼女ですが、当時の声にはどこか新鮮な印象を覚えました。
また、ヒュー・ジャックマン演じるマジシャンの衣装が『グレイテスト・ショーマン』を思わせるデザインで、これにも思わず今とのつながりを感じました。時代を超えた映画の中に、現在の作品への連想が生まれる瞬間というのは、ちょっとした喜びでもありますよね。
『プレステージ』は、巧妙なストーリーや緻密な映像表現だけでなく、キャストの魅力や観るたびに新たな発見がある点も大きな見どころ。まさに、時代を超えて楽しめるノーラン監督の傑作だと改めて感じました。
『マイ・オールド・アス 2人のワタシ』(2024)を鑑賞──自分自身が未来からやってくる?!
2024年公開の映画『マイ・オールド・アス 2人のワタシ』も観ました。この作品、18歳のエリオットのもとに、39歳の未来の自分が忠告しにやってくるという設定がとても興味深いんです。
物語は、18歳の誕生日を友達と山でキャンプしながら祝っているシーンから始まります。そこでエリオットは幻覚キノコを友達と飲み、なんと突然、39歳の未来の自分(Future Self)が目の前に現れるのです!最初は「今何やってるの?」みたいな雑談から始まるのですが、突然、未来の自分から衝撃的な忠告が。「チャドという男と付き合ってはいけない」と言われるのです。
まだその時点では「チャド」なんて人物には出会っていないエリオットですが、その直後、運命的にチャドと出会います。そして、忠告されていたにもかかわらず、だんだんチャドのことが気になり始めてしまうのです。さらに面白いのが、エリオットはゲイであるにも関わらず、なぜかチャドに惹かれてしまうという展開。(笑)
エリオットはどうにかして39歳の自分に連絡を取ろうとします。なぜチャドと付き合ってはいけないのか、その理由を知りたいからです。実は、Future Selfが知らないうちにエリオットの携帯に連絡先を登録してくれていたのですが、いざ電話をかけても全然出てくれない!その間にもチャドのことが気になって仕方なくなるエリオット。そして、困り果てていたところに、また突然39歳の自分が現れるのです!そこでついに「なぜチャドと付き合ってはいけないのか?」という理由が明かされるのですが…!あとは観てください!
私が一番グッと着たシーンはここ。その「チャド」という青年がいいセリフを言うんですよ。
エリオット:I was really excited to leave, but I just always thought it was going to be here to come back to. So, it feels really different now. 'Cause when I leave, I'm saying goodbye forever. And I hate goodbyes.
チャド:Do you remember the last time you went out with friends as a kid and just played pretend the whole day?
エリオット:I remember doing that a lot.
チャド:Yeah? Do you remember the very, very last time you ever did it? Isn't that sad? You know, to think that there was a time when you were out biking around with your friends, pretending you were getting chased by zombies. You were just all dirty and sweaty and having the best time. And then... you went home, parked your bike in the garage, and went to bed, not realizing that was the last time you were ever going to get to do that.
But the thing about not saying goodbye is that you also miss savoring when it’s gonna be, like, the last time you get to do that thing.
日本語訳:
エリオット:ここを離れるのは本当に楽しみだった。でも、いつでも戻ってこれる場所だと思ってたんだよね。だから今は、すごく違う気持ちがするの。だって、ここを離れるってことは、永遠にさよならを言うってことだから。(両親が農園を売ることを知ったばかり)そして、私はさよならが大嫌いなんだ。
チャド:子どもの頃、友達と外で遊んで、一日中「ごっこ遊び」をしていた最後の記憶って覚えてる?
エリオット:ああいうの、よくやってたわ。
チャド:本当に? じゃあ、本当に本当に最後にやったときのことを覚えてる? それってちょっと悲しいよね。だってさ、あの頃、友達と自転車で走り回って、「ゾンビに追いかけられてる!」ってごっこ遊びをして、全身汚れて汗だくになって、最高に楽しい時間を過ごしていたわけじゃない? それで、家に帰って、自転車をガレージに置いて、ベッドに入ったんだよね。でも、そのとき、それが「もう二度とやることのない最後の遊び」だなんて、全然気づいていなかった。
でも、「さよならを言わない」ってことの悲しいところは、同時に、「これが最後になるんだ」って噛みしめることもできないってことだよね。
深く考えさせられるテーマでした。
「21年後の自分が若い頃の自分に何を忠告するだろう?」
「18歳の自分なら、未来の自分に何を聞きたいと思うだろう?」
そんな問いを自然と自分自身に投影しながら観てしまう映画でした。未来の自分との対話というテーマは、シンプルなようでいて奥深く、観る人それぞれの人生を振り返るきっかけになる作品だと思います。
最近の映画は長尺のものが多いですが、この作品はわずか88分という短さで、生きることについて深く考えさせられる素晴らしい映画でした。また、ロケ地となった自然の美しさも存分に堪能できる作品です。
テーマとしては「別れ」について描かれており、先日観た『ロボット・ドリームズ』を思い出しました。どちらの映画も、「終わりがあるからこそ、今を大切に生きようと思える」というメッセージを伝えてくれます。この作品もまた、日々の生き方を見つめ直すきっかけになるリマインダーのような映画です。
観終わった後、きっと明日からの過ごし方や人との接し方が少し変わる――そんな前向きな影響を与えてくれる一作だと思います!
0コメント