アカデミー賞:主演女優賞を受賞したエマ・ストーンが主演する『哀れなるものたち』を映画館で観ました。月曜日なので通常料金を予想していたのですが、誕生月割引が最後に表示されてちょっと笑ってしまいました。
この映画について、事前に「大人の身体で子供の脳」ということしか知らずに観に行ったのですが、見終わった後、エマ・ストーンが最優秀主演女優賞を受賞するのも納得。衝撃作でした。
映画はグロテスクで、R18のシーンが多く、物を壊したり、嘔吐シーンもあり、ハリウッド俳優たちの演技には、本当に驚かされます。エマ・ストーンが制作にも関わっていたため、そういった大胆なシーンに挑むことができたのでしょう。彼女は体当たりの演技。ほとんどがヌードだったような!(笑)
物語は、エマ・ストーンが演じる妊婦の女性が自ら命を絶つところから始まりますが、天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって彼女の胎児の脳を移植され、奇跡的に生き返ります。彼女はベラと名付けられ、大人の体に子供の脳を持つことになります。この映画は女性版ドラキュラとも言われています。
映画の初めはモノクロで、ベラは子供のように歩いたり、物を壊したり、食べ物を吐き出したりと、まるで赤ん坊のように振る舞います。しかし、徐々に脳が成熟していき、性への目覚めとともに映画はモノクロからカラーへと変わります。
外科医のゴッドは、ベラを大切に育て、外の世界から守りたがります。しかし、ベラは未知の世界への探求心から、放蕩者で弁護士のダンカンに誘われ、大陸横断の旅に出ます。
欲望にまっすぐに進むベラの成長物語は、彼女が哀れな存在から輝かしい存在へと変わる様子を描いており、彼女を取り巻く男たちは次第に情けなく見えてきます。死から蘇った女性ベラの冒険を通じて、女性の自由という物語を展開していきます。ベラは時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を経験することで驚くべき成長を遂げます。
この作品は、ほぼ全てが工夫されたスタジオセットで撮影され、まるで童話から抜け出したような衣装や装飾、そして不穏な音楽が語りの曲がりくねりを際立たせる魚眼レンズによる映像技術が融合しています。この三つの要素が一体となり、まるで小説を一気に読み終えたかのような没入感と達成感を与えてくれます。
アート作品のように美しく、しかし内容は深く、観る者に強いメッセージを伝え、前向きな推進力を感じさせます。特にエマ・ストーンの魂を込めた演技に。生き様に脱帽です。
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