YouTubeに、YAMAPの春山さんと成田さんの対談の動画が上がってきました。前編と後編がありまして、成田さんの話は、そのままのスピードで聴きたいので、80分じっくりと視聴しました。
”自然経験の価値は、癒やしではなく、人間の弱さや自然の不条理さを学ぶことにある。” こう考えるのは、高校時代、山岳部だった経済学者の成田悠輔さん。成田さんの山での経験や教育の場としての自然の可能性について語られています。
そのあと、春山さんがどうして、YAMAPを作ったのか? どうやって、登山や自然に興味のない多くの人に、地球(自然)とつながるきっかけを与えるか? を成田さんに相談する場面もあったりしました。ということで、ものすごい視聴価値のある動画に感じました。
前半のほうで、成田さんに登山経験を経て考えたことを語る場面があり、まだ登山歴1年ですが、とても共感する部分がありましたので、文字起こしを引用します。
春山さん:登山は 純粋に楽しかったんですか、それとも?
成田さん:山ってちょっと不思議な存在で別にやる 理由があんまりないものですよ。ただそこにあってでただそこに行くだけ じゃないですか。別に競争してるわけでもなければ ルールがあるわけでもないですよね。普通のスポーツはもうちょっと潔いと思うんですよ。その野球とかサッカーとか あれはその明示的に人間が勝手にルールを作り出して優劣な基準を作ってでその ゲームを遊ぶっていう、もう人間が勝手に妄想ゲーム化してで、その中でゲームとか 妄想とか幻想としての優劣を作ってでそれを遊んで、戦争の疑似体験みたいなものをそこですることによって、熱狂して、なぜかサッカーが上手い人、 野球で打率が高い人が偉いって、思い込むってことをやってるわけですよね。なんかすごい人間 らしいとなるじゃないですか、その人間のいわばそのゲームを作っていってポイントを作っていって、勝ち負けを作っていく みたいなことのわかりやすい形、縮図がスポーツにあると思うんですよ。
それと比べるとその山とか 登山っていうのは全く違ったタイプの営みだな と思って擬似的な目的もないじゃないですか。別に早く登りゃいいってもんでもないし むしろ早く登っちゃうとつまんないですよ。ねだからちょっと 適度にいったり、適度に サクサク 登ることが多分いいんだろうと考えると、ちょっとその美術館を巡るのとかと同じように、早く行き過ぎると粋じゃないと思われて、ゆったりしすぎるとそれはそれで ノロマっていう微妙なところがあったり するじゃないですか。色んな意味でスポーツと対局だなと思うんですよ。だからただある ことただやることみたいなことを象徴しているものが、山なのかなって今に なってみると思います。
自分はそのスポーツ的なものっていうのに、あの全く興味が持てない人間なんですよ。それとほぼ多分同じ感覚として資本主義的なゲームにも 興味を持てないんですよ。そのスポーツっていうゲームも 例えば 時価総額とかスケールみたいなものを使った資本主義ゲームみたいなものも、結構似 てる部分あるじゃないですか。そのゲームの 作られ方ですね。もともと興味が持てないタイプの人間で、一度もそれ で頑張れたことがないんですよね。
それから もっと広い意味でのなんかキャリア競争 みたいなものとか受験競争みたいなものも元々全く好きではなくて、 馴染めないんですよね。熱狂できないんですよ。と考えると山に登ってたってのは、実はそういう自分の性格の もしかしたら自然な発露だったのかもしれないなって。 振り返ると自然な選択だったのかもって いう気がします。
春山さん:高校時代は山に登って、なんか今 おっしゃった子人間社会とは違う人間のルールとは違う世界に自分があることの なんか気持ちよさとか楽しさみたいなのは、実感されてたんです か ?
成田さん:楽しさとか気持ち良さとか幸福ってよりは、もうちょっと危なっかしい感じというか ヒリヒリする感じ一歩間違うと死ぬ感じっていう方が、自分とってしっくりきたかも しれないですね。
私の登山の動機は、自然に触れていない危機感と、見たことのない自然の風景を見てみたいということでした。実際に登山をしてみると、瞑想とヨガに似ているというような、マインドフルネス効果があるのを感じました。また、季節感を感じることで、豊かな気持ちになれたり、天然の美容液と言われる汗が、湧水のように滴れます。(笑)
成田さんのおっしゃるように、常に危険とも隣り合わせです。この一歩間違うと死ぬという、スリル感は、快感物質のドーパミンが分泌されますから男性が欲しい感覚なのかもしれません。私はどちらかと言うと、コルチゾールの低下や、オキシトシンを求めて、登山をしているように思います。
「登山をしていない人が、登山をするようになるには?」「美術館に行かないひとが、美術館へ行くようになるには?」にも似ていると思いますが、そのあたりの啓蒙活動についても、YAMAPの春山さんはいろいろと考えているようで、そのためにヒーローも欲しいと思っているけれど、まず、既存のヒーロー像を上書きする必要もあるとお話していました。
登山の話から、どのように自然と触れ合う活動を広めていくか へ。起業家視点も楽しめる興味深い動画でした。
最後に、私が「登山」の啓蒙活動をするとしたら…。シティ派が、急に山登りはじめたことで、どの様なよき変化が起きたのか?を見せ続けることだと思っています。(笑)
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