映画『マレフィセント』3D観賞。


 アナ雪につづいて、こちらも「真実の愛」がテーマの物語でした。最近のディズニーは、恋愛でもなく、家族愛でもなく、血のつながりのない間にも「真実の愛」が存在する、ということをメッセージにしているようにも感じます。

 若い頃に恋愛で深く傷ついてしまった妖精のマレフィセントが、その復讐をするために、恋愛の相手であった王子の子供オーロラ姫に呪いをかけてしまうのです。「16歳の日没までに姫は永遠の眠りにつくだろう。そして、真実の愛のキスだけが姫の眠りを覚ます」と。
 呪いをかけられてしまったため、オーロラ姫は森の奥で3人の妖精に育てられることになります。その様子を陰ながら見守るマレフィセント。ときに、温かな感情も見え隠れしてしまうのですが、必死にそれを隠しながら…。やがて16歳の日を迎えてしまうのです。

 映画は、3Dでただでさえ、眼鏡をかけているので真っ暗のなか、マレフィセントの心の闇を投影するかのように、ずっと暗い映像で、ひたすらアンジェリーナージョリーが邪悪な役です。乱暴になってしまっているひとは、傷ついている。人が傷ついて、復讐をしているときって、本当に恐ろしいです。復讐につぐ復讐の繰り返し、こんな状態の人が、どうやったら愛に目覚めることが出来るのか?

 そこに、何の背景も知らないオーロラ姫の容姿、心の美しさが光となって、「真実の愛なんて存在しない」と言い放っていたマレフィセントにも「愛」が少しずつ芽生えていく様子が、ちょっとずつ、ちょっとずつ見えていきます。

 「愛」が生まれた瞬間というのは、観ている方もわかっていながらも、自然と涙が流れてきてしまいました。自分の傷ついた心を認め、それによって邪悪になってしまった自分の罪にゆるしを乞うとき、ようやく人が正直になれた瞬間です。

 本当は愛に生きたいけれど、どうしていいかわからなくなっている人。現実の世界にも、マレフィセントのように戸惑っている人は少なくないと思います。素直な心でこの映画を観ることができて、心が温かくなる経験となったら、きっと自分の中に愛が育っているという証なのかもしれません。