ミヒャエル ボレマンス@原美術館

美容室でたまたま読んだ雑誌や、英会話のインストラクターから「原美術館」
という言葉を聞いたので、行ってみることにしました。
家から近いところにあるのに、意外と行ったことがなかった美術館です。




春の洋服を着て行きたいなと思い、晴れの日を選びました。
青空と春の日差しを浴びながら、品川区御殿山へ。


御殿山は、タクシーの運転手さんが、「ショートカットしていいですか?」
というときに、利用されるというのが私の中であって、
アップダウンのある丘の上、閑静な住宅地というイメージを抱いていました。
実際に歩いてみるなんてことは、初めてだったのです。


こんなに近いのに知らない感じ。
とっても静かな住宅街。
邸宅といった趣のある家々。
一歩足を踏み入れると、空気が違うんです。


それもそのはず、ウィキペディアによると地名の由来は、
「眼下に江戸湊を見下ろす高台で、
江戸時代初期から徳川家康が建立したと伝えられる
「品川御殿」があったためそう呼ばれる」とのこと。


さらに、日本画家の作品もいくつか見られます。

歌川広重『御殿山花見』



葛飾北斎『東海道品川御殿山ノ不二』



といった作品が残されています。
そんな文化的な土地に「原美術館」があります。
ミヒャエル ボレマンス展。




入口をはいると、タイムスリップしたかのように感じられる建物。
エントランスまでの道に、なぜか昔見たことのあるピンクベージュの
公衆電話が展示というか、放置されているかのように置いてありました。


あの電話、昔、喫茶店的なところでよくみたことあったなぁ。
なんとも思っていなかったけれど、今いちど見てみると、
ピンクベージュの穏やかな顔つきは、とても気品を感じられる
電話機だったんだと、今ごろ気づかされました。


現在、「ミヒャエル ボレマンス:アドバンテージ」展が行われていました。
1963年生まれのベルギーの画家です。

とっても評判がよいようで、服装からでも明らかに美術好きとみられる
20代~30代が主で、平日の15時だというのにいらっしゃっていました。
そう考えると、私の服装って、その層と違うんだなと思います。

ベージュや薄いグレーが背景の落ち着いた色、人間のありのままを描写。
背景の、これって、何だろう? という違和感。

そのような特徴はわかるのですが、
評判のいい理由が、あまりよくわかりませんでした。

★しかし、こちらの動画解説をみると、かなり納得です。
ほとんどすべての解説を30分してくれている丁寧な動画です。


原美術館の空間ごとボレマンスは、
プロデュースしていたのだと知りました。
空間と調和した展示だったのです。


「静けさの中に違和感のあるものを描きたい」
そんなテーマがあったようです。

写真から絵画へいった人なんですね。
その経過が絵画からでもみて取れました。


美術鑑賞後は、中庭の見えるカフェへ。
東京の景色が全く見えない大きな窓から見える、
中庭の木漏れ陽は、時がとまったように感じました。

原美術館のタイルの外壁の低い建物の上に見える空は、
どことなくノスタルジックで、風が強いので雲の流れは速いのですが、
おおきなクジラ雲が流れ、泳いでいるように見えました。




このクレームダンジュ。かなりのおいしさでした。
水がワイングラスででてきてしまうのは、洒落ています。

原美術館