映画『12 Years a Slave(それでも夜は明ける)』観賞。

 アカデミー賞作品賞、助演女優賞など獲得したスティーヴ・マックィーン監督最新作『12 Years a Slave(それでも夜は明ける)』観賞。ブラッド・ピットもプロデューサーとして関わっており、アカデミー賞の作品賞受賞では、オスカーを片手に、登壇していました。




 スティーヴ・マックィーン監督のことは、マイケル・ファスベンダー主演『SHAME』を観たときの衝撃で初めて知りました。で、再びマイケル・ファスベンダー起用での作品ということで、2012年の終わりくらいから楽しみにしていたのですが…。映画は、ものすごくダークなものでした。



 ちなみに、マイケル・ファスベンダーは、大好きな俳優です。本作品では、冷酷×弱さ という微妙な心境の演技。ほんとうにいつも繊細です。マイケルは、どの俳優よりも目からものすごく伝わってくるのです。

 内容は、ソロモンという自由黒人が、1841年にワシントンD.C.で誘拐され、奴隷として売られ、過ごした12年が描かれている実話に基づいたストーリ。

 スティーヴ・マックィーンの「ただ描写」してあるシーンから、その惨さがものすごく伝わってくるのです。首をつるされて、ぎりぎり足がついて、足をパタパタと地面につける泥と靴とのすれあいの音が生々しい。どうにか生き延びようと必死の姿の背景は、何事もなかったように、子供の黒人が遊んでいるとか、白人がただ眺めているとか・・・。

 鞭でただただ打たれているシーン、ただ綿を摘むシーン・・・。とにかく生きるために黙って働かなくてはならなかった。反抗したらムチの刑だったり、殺されてしまう。生きるために自分を殺すしかないのです。
 物語的にも最後の方に救いはあったとしても、惨いシーンの連続で、結局涙も流れずに映画館を後にしました。
 先に観たという母にも感想を聞いたら、いつもならおすぎのように語り出すのですが、(笑)この映画に関しては、珍しく10秒の感想でした。「とにかく、演技がリアルで・・・なんていうんだろう・・・・」と。

 過酷な社会のせいで、家族が一緒にいることさえも難しかった時代。もう一度、再会したいことが、とにかく希望で…。何でも揃う国に住んでいて、そんな私たちの手に入れたいものは、一体何になるんだろう? ふと、そんな疑問が湧いてきました。


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