映画『ブルーに生まれついて/Born To Be Blue』鑑賞。

 天才、白人ジャズトランペッター、チェット・ベイカーをイーサン・ホークが熱演しています。1970年にはドラッグが原因の喧嘩で前歯を折られ、演奏活動の休業を余儀なくされます。それでも、恋人に支えられ、どん底から這い上がろうとするチェット・ベイカーの苦闘の歳月について、映画ではフォーカスが当てられています。

 前歯がすべてなくなったら、トランペットなんて吹けません。しかし、入れ歯をつけながらも、だんだんと吹けるようになっていき、大けがをしたからこそ、渋みのある演奏にもなっていくのです。釈放後は保護観察もついていましたから、クリーンになり、目覚ましい回復を遂げていきます。知人にお願いをしてNYで復活の舞台が用意されますが・・・・どうなったでしょうか。




 私の好きな映画、Beforeシリーズのイーサン・ホークなので、この映画に関しては随分役作りをされているなという印象を持ちました。声もチェット・ベイカーが甘くて優しく、高めの声であるので、イーサンは、いつもと違う声色で演じていました。また、実際にトランペットを演奏したり、歌う場面もあります。それぞれコーチをつけて特訓したもののようです。

 映画の内容に関して、タイトルにもあるように、チェット・ベイカーという人は、「生まれながらにブルーな体質」という感じが伝わってきました。子供のころに、高い声を馬鹿にされ、けんかで前歯を1本折ってしまい、声を馬鹿にされないように、トランペットを父から持たされたところからはじまり、デビュー後も、最初だけ高評価を得ただけで、基本的にはよい評価をされなかったという、なんか、ジャズ界のゴッホみたいですね。最期もアムステルダムで、謎の死を遂げているようですし・・・。

 映画では、落ちぶれたところから、這い上がるところという、本当に短い瞬間だけでありますが、イーサン・ホークが役に入りすぎているというか、調べた情報によると、イーサンは、Beforeシリーズの監督と、チェット・ベイカーの映画を企画をしようかという話が出ていたそうなのです。頓挫してしまったようですが。

 だから、ものすごいはまり役で、イーサンの歌うシーンもやっぱりなかなかよかったなと感動しました。私自身が、Gigをやったばかりというのもあり、個人的には今のタイミングで観られて良かったと思いました。しかも、最近ジャズのクライアントさんができたので、これもシンクロニシティーでしたね。

 血だらけボロボロですが、ラブストーリーの中に光も見えてきます。でもやっぱりブルーだなぁと、そんな余韻です。ジャズに浸りたい方は、いい時間が過ごせるかと思います! 映画館は、JAZZ好きそうなおじさま多かったです。

 以下、イーサンの実際に映画で歌っているシーンを貼っておきます。ただ、映画のワンシーンのため、映画をご覧になる方は、お気を付けてご覧ください。


公式HP



★以下の動画はネタバレですのでお気を付けください。


★Chet Baker - I've Never Been In Love Before
(本人のほうがキーター高いですね)