映画『教授のおかしな妄想殺人』Irrational Man(原題)鑑賞。




 ウディ・アレン最新作へ! 『罪と罰』、「運」がテーマの『マッチポイント』と通じるものがありました。罪なのに、観ている方を正当化させるほど、本当にかるーい感じが、ウディ・アレン。

 アメリカ東部の大学に哲学科教授エイブがやってくる。生きるモチベーションを失っているような、何考えているんだかわからない彼に、学生ジルが魅かれていく。ジルは彼氏もいるけれど、一人に絞れないと言いながら、危なっかしいエイブを助けたいと思い、友達以上な関係をエイブに求めている。

 ある日、エイブとジルが行ったレストランで、エイブは正義感が芽生えて、ある殺人を妄想。それから急に別人、エナジックに! 青酸カリを使って一人完全殺人企てるのだが、その計画を実行することが彼の生きがいになっていき…。二人の関係は? エイブの結末は?

 ジル演じる、エマ・ストーンは、前回のウディ・アレン作でコリン・ファースと共演。今はすっかりウディのお気に入りのようで。魅力的な瞳とハスキーボイス。同じくスカーレット・ヨハンソンもウディ・アレンのミューズですが、彼女も声が低い。80歳になっても美しい女性と仕事ができ、なおかつリスペクトされているというウデイ・アレンは、本当に元気だなと、だから映画を観に行かなくちゃと思ってしまいます。この映画の先もすでにできているようですし、それはカンヌのオープニング作品にもなったそうで、かなりそちらも楽しみ!

  
 今回、教授のエイブを演じたのは、『her/世界でひとつの彼女』のJoaquin Phoenix。あの役と全然違う人かと思ったくらい、風貌も違うし、演技も違う。ラストに至るまで、いろいろな心理状態のエイブがあったとおもうんですけど、それを見事に演じ切っているのも見ごたえがありました。どんどんおかしく?! なっていくエイブと反比例して、ジルは「私って普通」と気づいていく流れも人間のシーソーゲームと言うか、よく描かれていて、なっとくでした。

 きっと、万人受けというよりも、今回はウディ・アレンファンのための映画色が強めですが、もはや世界遺産のようなウディ・アレンを見逃すわけにはいかないですね。
 ちなみに、丸の内ピカデリースクリーン1は、2階席が見やすいです。平日なので2階席前列ど真ん中、T-18をGETしてみたところ、前評判通りべスポジでした。