「なにこの椅子、フカフカ!」ソファーに体のすべてを委ねられるあの状態。ここで、生ピアノとオペラを鑑賞できる非日常。そんな渋谷区富ヶ谷にある白寿ホールは、世界初リクライニングシートの客席搭載という、2003年に誕生したホールです。リクライニングシートは、そのための演奏会のときだけ使用されるそうです。まどろんだ状態での音楽鑑賞も極上なひとときだろうと想像に難くありません。
この日は木曜日というのもあり、私にとってはヨガの日。先生にグワッと肩甲骨回りの可動域を広げてもらったばかりで、体の状態もほぐされていました。ベストコンディションで鑑賞準備完了です。
今回のコンサートは、1年半前からピアノのリサイタルに行かせていただいている富永峻さん&韓国を代表するオペラ歌手、ソプラノとテナーの方の演目です。富永さんは、ソロパートもあり、オペラの伴奏もあり、100分間ピアノを弾き続けるというお役目。一体、どんな練習をされてきているのでしょう?
19時開演、"Haydn - Piano Sonata No. 52" 富永さんのソロから始まりました。オープニングにふさわしい明るい曲。その調べが磁石となって、何が始まるのだろう? と期待に胸を躍らせながら人が集まってくる、そんなイメージの曲です。
★Haydn - Piano Sonata No. 52
白寿ホールすごいです。コンセプトは「上質の音楽を心地良い空間でお届けすることで、”健康のトータル・プロデュース”に貢献することを目指している」とのこと。椅子は、長時間の鑑賞でも疲れにくい、パリの新オペラ座(バスティーユ)の座席と同じメーカーの椅子を導入しているそうです。
私の席が前から2番目というのもありましたが、ピアノの振動が椅子を通して確かに伝わってきたのです。そしていつもよりも、フォルテとピアニッシモの区別がクリアに聴こえてきました。これは、家でスピーカーを通して聴いている状態では、絶対体験できない振動です。また、他のホールではそういう感じ方はしたことなかったので、私史上初感覚を味わいました。体が喜んでいるのがわかります。
オペラ部門へ。いい声って何だろう?
今、ボイトレでイタリア語を歌っているのもあり、ちょっと親近感がわきました。ボイトレの先生に、「声を前に出すのではなくて、体にこもらせるように歌う」と言われているのです。まさにオペラはそんな歌い方。
「いい声」を聴くと、きっと無意識のなかで、何か組み換えが起こるんじゃないかと思います。とてもすがすがしい気分になりました。白寿ホールの音響のなかで響き渡る、マイクを通さない生の声。口と鼻付近の動きだけで、音を出しているという感じで、いつ息継ぎをしているんだろう? と思うくらい、自然な安定感に驚きました。自分が再現できるかどうかは、まだまだこれからですが、声の出し方において、まだ未開拓の筋肉や器官があるのだろうと、可能性が広がりました。自分の声もまだまだ変われるんだろうなと。
ピアノは、歌の呼吸に合わせての伴奏。感覚や波長を合わせていくような、リズムにならないようなリズム。ソロで弾く場合と、違った難易度がありそうですが、呼吸ぴったりで、さすがプロフェッショナル。歌の背景を知るための朗読が助けとなって、感情的な部分は理解しながら、オペラ鑑賞することもできました。
★Puccini Tosca
第2部は、富永さんのソロ、"Chopin - Ballade No. 4"からです。先日、私のイベントでサプライズとして富永さんにピアノを弾いていただきました。その懇親会のときに、ショパンは、本当の自分と偽りの自分との二面性が楽曲に現れていると教えてくれました。そう思って聴いていると、光と影を行き来するような、繰り返しのメロディーにも聴こえてきました。
富永さんのこれまでの印象は、鑑賞している方が、いい意味で目障りに感じないくらい淡々とピアノを弾いている感じでしたが、今回は感情表現がいつもより現れていました。とくに、ラストに向かうにつれて、難易度がものすごいことになっていくのですが! ここは、きっと見所です。最後の音に魂が込められた、ものすごいフィニッシュでした! これは、女性ピアニストがそういうフィニッシュにはすることができないと思います。男性ピアニストならではというか。So Cool!!! いつか、ショパンだけの演奏会を富永さんにしてほしいものです。一緒に来ていた3人の共通感動ポイントでした。
★Chopin - Ballade No. 4
いや、すごい120分でした。白寿ホール最強です。一緒に行ったのは、4.13のUPDATEイベントに出られていた、長年のお付き合いのAさんと、最近からのOさんです。Oさんは、クラシックを聴きに行くというのは、非日常的なことだそうで、とても感動されたようでした。富永さんと同い年だよ、と伝えると驚いていました。そして、UPDATEイベントの懇親会で、富永さんと居酒屋で話すのが先でよかったと、言っていました。(笑)最後、富永さんを捕まえて、4人で記念ショット。富永さん、頭がボーっとしている状態だったようです。お疲れさまでした&ありがとうございました。
お食事して帰ることにしました。代々木公園駅のあたりに、オシャレそうなお店がいくつかあって、当然ホールの手前から混雑していたので、ちょっと歩いて駅の近い方のお店へ。そうしたら、ガラガラ!
でも、ついてました! むしろこのお店に入るために、ここまでの店が混雑していたかのような。アットホームな雰囲気で居心地よく。キッチンを一人で回しているようなお店だったので、ゆっくりとワインをいただきながら、お食事が運ばれてきます。野菜多めのヘルシー料理、お味もGOOD!
とくにクラシックを聴いたあとのディナーは最高です。きっと、顕在意識のごちゃごちゃしたものが、ピアノの音符に追い払われたかのような状態になって、潜在意識の中にある言葉がすっと出てくるのでしょう。時間も忘れて23時半くらいまでお店にいました。
ピアノにオペラにワインに…極上のインプットDAY。情報を詰め込むよりも、自分の内側から引き出されていくような、そういうインプットがいいですね。
今日はGW初日。かなり風が強いのもあって、ベランダから東京湾の向こうの陸まで見えており、視界良好です!朝、姪のゆめちゃん&ことちゃんから電話があり、GWに動物園へ行くアポが入りました。(笑)
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