サリー・ホーキンス主演の映画、2週連続になりました。私の中で苦手なエーリアン系、『シェープオブウォーター』では、手話でしたが、今回は、リューマチで体が不自由な画家の役でした。実際に映画の中で絵も彼女が描いているのですが、映画のために絵も習ったようなのです。ご両親が画家で、元々絵心のある方のようですが! 体の不自由さはどう表現したのかというと、ダンスを習って、作りこんだんだそうです。プロフェッショナルは、刺激になります。
イーサン・ホークもいろいろな役をされますよね。前回観たのは、トランペット奏者でしたが、今回は全く笑わない、魚売りをしている、心を閉ざした一人暮らしの男です。
サリー・ホーキンスとイーサン・ホーク、珍しい組み合わせだなと思いました。36年分の二人の愛を描写しているのですが、どんなにメイクをしても、イーサン・ホークは、カッコよすぎでした。
◎今日も、ネタバレですのでご注意ください。(もともと実話ですが)
イーサン・ホーク演じるエベレットが、ある日、掃除をしてくれる家政婦を探すために、ある店に張り紙をします。それをサリー・ホーキンス演じる「モード」が見つけて、仕事したいと、申し出に行くところから、二人は出逢います。
エベレットは、なかなか気難しいひとで、ちょっとでも気に入らないところがあると、怒鳴っては、あとで後悔しているような、不器用な男性なのです。しかしモードは、ここしかあてはないからどうにか続けさせてもらおうと、ある日スープを作るために、鶏までやっつけて、必死に食らいついていきます。
二人がものすごく喧嘩をした日、落ち込んだモードでしたが、ペンキで壁に絵を描き始めるのです。そこから、少しずつ、エベレットも和んでいきました。
ある日、モードの家にたまたまやってきた客が、家の中の絵が視界に入り、「あなたに絵を描いてほしい」と依頼。そこから、絵が売れ始めて、TV取材、ホワイトハウスからも絵を依頼され、カナダで一番有名な画家になっていったのです。
と、サクセスストーリーな展開かと思いきや、映画は二人の愛の形を描き続けています。モードの才能が、エベレットと出逢うことで開花していく。ぎこちない不器用な二人の間にいろいろな感情が生れて、そして、絵を描きたいという衝動も引き出したんじゃないかと思いました。それに、あんなに堅物なエベレットの心を、絵とチキンスープが、だんだんと溶かしていったんじゃないかと、今思い出しただけでも泣けてきます。小さな家に住む、社交的でもない二人が、世界の人たちに知れ渡る、奇跡です。
「あなたの見えている世界を描いて」。自分が見える世界を見せることが、人からしたら、思いもよらないことだったりするのです。自分の中にある宝物を探したくなりました。それはきっと、誰かとの愛の中で生まれるのだろうと。
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