HOUSE OF GUCCIレビュー。

 レディー・ガガ主演の『ハウス・オブ・グッチ』鑑賞しました。巨匠リドリー・スコット監督84歳の作品です。実話に基づくストーリーなので、そもそもネタバレしているものですが、誰かが暗殺されるくらいしか知らずに観ました。

【あらすじ】

 パトリシア(レディー・ガガ)は、父親のトラック運送業で働いていた。ある日のパーティで、カクテルをオーダーしようとバーテンに声をかけると、そこには、グッチの孫であるマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)が立っていた。「グッチ」と知った彼女は、その後マウリツィオに偶然に会ったように振る舞いグッチに迫り、デートを重ね、そして結婚することになる。そもそもマウリツィオは弁護士になろうとしており、グッチの経営には全く興味がなかったのだが、パトリシアのほうが、だんだんと一族の権力争いまで操ろうと、グッチを支配しようとし始めた…。


 パトリシアは、現在も存命で、本人はレディーガガが何も言ってこないことに腹を立てたそうです。アメリカの映画作りは、その辺ノーケアで存命中でもどんどん映画化するところがすごいです。

 役作りに関しては、GUCCI家の本や残っている映像から想像して作られているようなので、実際とは違うのでしょうが、ひとりひとりの個性が際立ち、どの登場人物もキャラクターがとても伝わってくるものになっていました。なので、話の筋としてはとても分かりやすい映画でした。そうなると、内容よりもまわりの背景や、ファッションなどにも目を向けることができました。大スクリーンで観ると、まるでイタリアにいるような気分になり、ラグジュアリなものしか視界に入らない心地よさ!

 当初は結婚して、お金持ちになることが目的だったのに、それを手に入れると、また別の山を目指したくなる。子供もできて、結婚に反対していた3代目の父親をも巻き込まれていきました。最初は、クリムトの絵をほかの画家と間違えるくらい無知なところがありましたが、もともと実家はトラック運送業ですから、経営に関しても全く知らなかったわけではありません。経営に疎い夫よりも、ぐいぐいGUCCIを支配していきます。

 そんなとき、占い師が登場し、彼女の野心をさらにあおっていくのです。そこからが、ぐちゃぐちゃしてきて、ますますスクリーンかぶりつきとなり、気づけば3時間の映画を集中してみている自分がいました。

 映画音楽は、日本人も聴いたことのあるような昔のポップミュージックというセレクションが、映画へ入り込みやすく工夫されていたようにも感じました。

 3代目を演じたアダムドライバーは、『パターンソン』という映画にもかつてでていて、ルーティンが決まっている主人公という設定でした。奇しくも、今回の役もルーティンが決まっているからこそ起った悲劇であり、映画ファンとしては、つながりを感じました。

 YouTubeに映画のインタビュー番組がいろいろとアップされていて、主要メンバー5人が一同出演しているものがいくつもあり、改めて出演していた人たちの濃さに圧倒されます。レディーガガが、女優というよりも、歌手の装いでインタビュー番組にでているところが、レディー・ガガだなぁと。そして、パウロという剥げていて、ちょっとピエロ的な存在の3代目の甥を演じた人は、メイクに6時間かけていたそうで、その人の素顔を見られるのも楽しめます。本当はイケメンなのですね。

 やはり、ファッション界ということで、ファッション、インテリアなども併せて楽しめるのはいいですね。ちなみに、コロナ禍に撮影されているというのもびっくりです。

 悲劇な映画ですが、見終わったあと、豪華な映画を観られた満足感がとてもありました。空いている時間に行かれるのなら、映画館での鑑賞をお勧めします!

 映画を観終わって、なんとなく有楽町から東京駅の方へ、いつも通ったことのない道を歩いていたら、八重洲口に大きな「GUCCI」の文字が見えて、驚きました。(笑)

 もうすぐ、アカデミー賞もありますし、それに関してのYouTubeもいろいろとでてきて、観たい映画がいろいろとでてきてしまっています。次は『CODA』を観る予定です。