ピアニスト富永峻さんリサイタル 2022 ♪

 コロナ禍のため、ピアニスト富永峻さん、1年ぶりのリサイタルとなりました。時間をかけて深められた演奏は圧巻で、特にラストは、30分間も打ち上げ花火のフィナーレのように! 感動のパフォーマンスを披露してくださいました!

 座席は、ピアニストの手と表情が見える、ベストポジションに座ることができました。

 今回はプログラムの中に、それぞれの曲についてのコメントがあったり、作曲家のエピソードがあったりと、演奏される前に聴きどころを意識できる冊子になっていました。おかげで、これから演奏される曲への期待感も膨らみました! 

 最初は、シューマン。妻となるクララの父親に交際を禁じられていたシューマンの彼女への熱い想いを感じさせる「ピアノ・ソナタ 第3番 Op.14」。どちらかというと、落ちていくような音からはじまる最初のメロディーが印象的です。

 そして有名な、子供の情景作品15」です。以前、幼馴染の女性ピアニストのリサイタルでも聴いたことがありましたが、富永さんの演奏は、また違うものがありました。男性が弾いているのと、ドレスを着た女性が弾いているのと、そのビジュアルの違いからも、聴き手が惑わされるのかもしれません。また、シューマン側に立つのか?クララ側に立つのか? 男性と女性の違いもあるのかもしれません。知っている曲も多く、癒しの時間となりました。「子供の情景」に関して、 富永さんのインタビュー動画見つけました。1曲目演奏されています。

 第二幕。富永さんの衣装が変わりました。チャコールグレーのシャツ、スーツに、蝶ネクタイがプログラムの色にもある、赤やグリーンイエローなどの光のストライプのようなふんわりとした蝶ネクタイでした。これは手作りなのでしょうか?!

 曲は、Isaac Albeniz『La Vaga (草原)』アルベニスをはじめて聞きました。まさに天才児で、4歳でピアニストとしてデビューし,7歳で作曲。そして、12歳の時に南米行きの客船にもぐりこみ、ヨーロッパから脱出したそうです。(笑)それから、スペインで人気の作曲家だったようですが、突然の沈黙期間を経て、ピアノ史上に残る大傑作『La Vega』を発表したようでした。富永さんにとっては、スペインは母国のような場所ということで、正真正銘の『La Vega』です。冒頭からエキゾチックな雰囲気で、一瞬にしてスペインを旅しているような、心地良い音色に酔いしれました。

 そして、最後の4幕目。ストラビンスキー「ペトルーシュカから3つの楽章」。ほかの方の動画ですが、こちらの曲です。すごいので聴いてほしいです!これがライブになるとどうでしょうか!

 富永さんがお辞儀をして、ピアノを弾くまでの間、たいてい少し時間があると思いますが、想定外に音の方がすごい勢いで飛んできてびっくりです。富永さん、座った瞬間に演奏をはじめていたというのは、どんな心境だったのでしょうか!

 ピアノを激しくたたく曲ですが、富永さんはわりと凛と背筋が伸びたまま、肘から腕、手の筋肉で鍵盤を叩いているように見えました。事前のお知らせ動画で、挑戦曲のようなことをお話されていましたが、制覇されたような、圧巻ぶりでした! これはすごい!!!

 まるで、フルマラソンを全力で走り抜くような!そんなことあり得ないんですけれども。「計算されたカオス」と富永さんのコメントにもありましたが、ほんとうにその通り。ピアニストでも、チョモランマ級の人しか、選ばない曲なのではないでしょうか! そんな超難関な曲をライブで聴ける喜びを味わいました。この場にいることが、本当にラッキーだなと感じました!いつも思いますが、同じ人間とは思えません。(笑)

 本当にすごい演奏会でした。今年ははじまったばかりなのに、姪の【金賞】。巨匠になるだろう富永さんの天才的な演奏に年頭から触れられて、ハッピーです。

 富永さんが最後に少しお話されていましたが、リサイタルの曲選びから、とても楽しい作業なのだそうです。ピアノを弾く喜びが本当に溢れていましたし、今まで以上に富永さんの世界観を感じた、ピアノリサイタル2022でした。

 そんな富永さんには、個性的でオシャレな花束が並ぶ、日比谷ミッドタウン地下にあるお花屋さんの花束を持っていきました。いつも演奏前にメッセージを書かなくてはいけないので、ちょっと困りますが、「いつも新しい世界を見せてくださりありがとうございます」と書きました。今回もやっぱりそう感じました。

 動画の中でも「曲を紹介していくのが仕事」とおっしゃっていましたので、これからもどんどん知らない曲を発掘していただいて、新しい可能性と未知の世界を見せていただきたいです。それにしても、どこまで制覇されるのでしょうか! 完璧なパフォーマンス。いつも尊敬と共に感動しています!ありがとうございました。

 母とクライアントさん2名+娘さんと一緒に鑑賞しました。皆さん、初富永さんでしたが、とても感動したようです。母と私はよくピアノリサイタルへ行きますが、富永さんの音の迫力に「すごいわね!」と何度も言っていました。先週は、子供のピアノの発表会だったから、特にそう感じたのでしょうか。(笑)特に2曲目は涙が出そうになるほど感動したそうです! 

 そして、もう次の峰を決めた富永さんのようです。来年の新年のコンサートは、2023.1.15 @白寿ホールです。今から楽しみにしております!