映画『ミッドナイトスワン』鑑賞。

 滅多に邦画は観ないのですが、大絶賛をたくさん目にしたので。あまりにも評判がいいので、自分もそれに巻き込まれるような「いい映画でした!」とならないようにニュートラルに見たいなと思いました。

 イントロのシーンは、レインボーブリッジを長距離バスが走っているところが空撮されており、私の住んでいるマンションも映り込んでいました。なんだか物語と現実がの世界が曖昧になりました。




【あらすじ:最初の設定のみ】

 トランスジェンダーの凪沙(草彅剛)のところに、いとこの子供が育児放棄されているから、あなたのところで預かってくれないかと、広島の母親から電話がきます。養育費も入ってくるというのもあり、子供は嫌いだけど、凪沙は引き受けることに。ちなみに母親は、息子がトランスジェンダーであることは知りません。なので、中学生の一果(服部樹咲・新人13歳)が新宿駅で凪沙に会うと、静かに驚きます。

 とりあえず、寝泊りさせて、学校に行かせるということだけなので、必要最低の「掃除をしなさい」ということだけ告げて、二人の共同生活が始まるのです。とはいえ、凪沙は夜の仕事をしているし、一果は学校なので会う時間といえば、夕食の時だけ。ある日、一果は近所にバレエ教室を見つけて、体験レッスンを受けます。そこで、りんという金持ちの友達ができます。一果に、バレエシューズや服をあげたりします。お金はあるけれど、りんの心はどこか満たされていないようでした。一方、一果はどんどん上達して、バレエ教室の先生にも一目置かれるようになりました。しかし、凪沙にはバレエをやっていることは内緒です。友人のりんの紹介で、違法なバイトをしながら、月謝稼ぎもしていたところ、ある日、騒ぎを起こしてしまい、バレエを習っていることが、凪沙にばれてしまいます。しかしそこから凪沙と一果の二人の距離は少し縮まっていきました…。


 とまあ、ここまでは良かったのですが、これが現実だったとしたら…と思うと、辛すぎることがいろいろと起こります。もしかしてこの伏線は…と一番最悪なことを予想したら、本当にそうなってしまったり。124分の間に、一果と誰かの物語が、バレエの舞台のように、何幕も開いていく感じがして、「そこで終わらないでほしい」と祈る気持ちで観ていました。

 なぜか何度も鳥肌がたったし、涙が流れたし、ネオンでさえ、ダークなものの一部に感じてしまうような、ずっと光を探してしまいました。どこに救いがあるのだろうと。

 草彅さんは凪沙を考えすぎず自然体で演じたようです。そんなところまで演じるのか?!と、目を覆いたくなるようなところもありました。草彅さん以外に、この役考えられません。一方で、一果実演じる服部樹咲さんは新人で、実際、バレエのコンクールで数々の受賞を誇る方のようです。身長168センチのバレリーナで、手足が長くとても美しい! バレエだけでなく、女優にも興味があったそうで、ちょうど募集要項の歳に、運命を感じたようです。200人のオーディションで、佇まいから主役に抜擢されたそうでした。新人だから演技指導もかなりされたそうで、草彅さんがインタビューで服部樹咲さんにゼロに戻されたと語っている動画がありました。新人とは思えない自然体の演技力で、とても伝わってくるものがありました。

 ぐっとくるようなシーンがいくつかあったのですが、1回目は物語を追うことに必死。2回目の鑑賞で再確認したいと思います。(笑)